“佐賀”“宮崎”に初の「億ション」 即買いする人は
日経新聞電子版が、佐賀市や宮崎市で初の「億ション」が建設中と報じたのは10月25日のこと。例えば佐賀は、2025年2月に完成予定の「デュオヒルズ城内」で、佐賀城公園の堀の前に建設中とある。地上14階建ての最上階の2戸が億ションで、いずれも120平方メートルを超える広さだ。 【写真をみる】まるで高級ホテル…! ぜいたく過ぎる「億ション」
“即買い”も
開発と販売を手がけるフージャースホールディングスによれば、昨年12月に募集が行われ、2戸に対して、5件の応募があった。 同社に聞くと、 「佐賀城跡、名門の佐賀西高校など、もともと市内ナンバー1のエリアという評価に加え、本件のようなお堀端、かつ南向きの土地は他にはありません。(富裕層の)お客様にご評価いただけることを想定した間取りなど、ぜいたくなプランニングがご好評を頂けた理由と考えています」(広報担当者) 一方、宮崎市の億ションは、JR宮崎駅からほど近い「レーベン宮崎 ONE TOWER」。発売されたのは今年4月だ。 デベロッパーのタカラレーベン(MIRARTHホールディングス傘下)によると、20階建てマンションの最上階の2戸(128平方メートルと136平方メートル)が億超えで、売り出し後、即売約済みとなった。同社が言うには宮崎では100平方メートル以上の部屋がなかったことから、本物件が初の億ションとなったのではないか、とのこと。 「広さに対しての単価で比較した際、これまでの(宮崎市内のマンション)市場と大きな乖離があるわけではないと考えております」(グループ広報課の担当者)
次の「億ション」はどこに?
それにしても、総務省の2019年全国家計構造調査を見ると、佐賀県民の金融資産残高は39位、宮崎県民は44位。人口減もあり、高級マンションが即座に売れる場所とは思えないのだが、住宅評論家の櫻井幸雄氏は、こんな見解を示す。 「大都市圏から遠く離れた地方都市であっても、病院経営者や地主など一定の富裕層がいるものです。佐賀や宮崎の物件はそうした層がターゲット。彼らは、街で一番高い物件が売りに出されると、必ずといってよいほど関心を示す。デベロッパーの狙いはそこなのです。実際、金沢や新潟でもすでに億ションが出現しており、これから意外な地方都市でも建設される風潮にあるのです」 ならば、次に億ションが出現しそうな地方都市は? 「山陰地方でしょうか。あの地域は、けっこう富裕層がいますから」(同) 金持ちはまだまだ日本にいるというわけだ。
「週刊新潮」2024年11月7日号 掲載
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