栁俊太郎『ゴールデンカムイ』は“こいつヤバいな”と思ってもらえる作品に 2024年を振り返る
俳優・モデルの栁俊太郎。2024年の1月に公開された山﨑賢人が主演を務めた映画『ゴールデンカムイ』を皮切りに、5月にJO1の川西拓実と桜田ひよりがW主演を務めた映画『バジーノイズ』、11月には栁と八村倫太郎(WATWING)W主演の映画『他人は地獄だ』が公開。ドラマでは1月に『夫を社会的に抹殺する5つの方法 Season2』(テレ東)、『連続ドラマW ゴールデンカムイ』(WOWOW)が全9話が放送・配信され、話題となった。インタビューでは、個性的な役柄を演じることが多い栁に、2024年を振り返ってもらいながら、理想の自分像について語ってもらった。【取材・撮影=村上順一】 【写真】栁俊太郎、撮り下ろしカット ■人生の中で誇れる作品の一つに間違いなくなっている ――映画『ゴールデンカムイ』の反響を今どう受け止めていますか。 作品が面白いと言ってもらえてとても嬉しいです。知り合いからは、二階堂が結構かわいいと言われて(笑)。 ――キモ可愛いと評判ですよ。現在映画版に続いてドラマ版も放送されていますが、撮影は今年?(※取材時) 去年です。映画を撮影している中で、その流れのまま撮影していました。監督は変わっていたりするのですが、僕の中ではその2つでシーズン1として捉えているから、映画とドラマと分けるというよりは、これで1つみたいな感覚なんです。 ――『ゴールデンカムイ』は栁さんの役者人生において、どのような作品になりました? 自分にとってすごくプラスになった作品で、クオリティも高いですし、老若男女におすすめできる作品です。人生の中で誇れる作品の一つに間違いなくなっていますし、「こいつヤバいな」って皆さんに思ってもらえるような、一つの武器を手に入れた感覚があります。二階堂というキャラは僕のプロフィールに大きく載るだろうなって。そのぐらい誇れるキャラ、作品になりました。 ――今年の1月はドラマ『夫を社会的に抹殺する5つの方法 Season2』が放送されました。『他人は地獄だ』とはまた違った怖さがある作品でした。 僕はこういう方が怖いですね(笑)。『ゴールデンカムイ』の二階堂も『他人は地獄だ』のキリシマもキャラクター性があって、キャラクターとしてのヤバさみたいなところがあると思うのですが、キャラクター性が強い方が割とやりやすいというか。よりちょっとアクションチックと言いますか、『夫を社会的に抹殺する5つの方法 Season2』で見られるような、身近なところにいそうな感じと言いますか、自分が絶対許したくないような役の方が演じていてきついところがあります。 ――リアルな感じもあり、精神的にくるものがあります。 正直、演じていて気持ち良くはないです。 ――結婚観や家族のあり方について考えることが多くなりそうな作品で、捉え方によっては気が滅入ってしまいそうですよね。 僕は気が滅入るというよりは、当たり前ですけど、そういうことをしたらやっぱり駄目だよねという学びはありました。だから私生活はちゃんとしようと思いましたから。ただ、役者として演じるのはいいのですが、僕が演じた日野透からふと自分に戻ったとき、嫌なやつだなと思う瞬間がありました。 ――栁さんは演じていて役に入り込んでも、撮影が終わったらすぐ抜けられるタイプ? もしくは少し引きずってしまうところもありますか? 僕は引きずっている感覚はないです。おそらく割とすぐに役が抜けるから客観的に見られて、「嫌なやつだったな」とか思えるのかもしれない。引きずってしまうと精神的に落ちてしまう、ボロボロになってしまう可能性はあります。 ――知り合いの中にはそういった役者さんもいますか。 役に入り込んでなかなか抜け出せないという話はよく聞きます。ただ僕も役によってはそうなる可能性もあります。過去に気づいたら精神的にきつくなっていたことはありました。その時は客観視できていなくて、若い頃はそうなりがちなところもあったと思います。 ■いただいた役を120%以上で演じられるように ――だんだん自分のやり方、落とし込み方も変化してきているわけで。そんな中で『バジーノイズ』が公開されました。ベーシストの大浜陸役でしたが、その後ベースは弾いています? 本当にベースは続けたいと思っていたのですが、やっぱりベースって1人ではなかなか続かない、ドラムとベースのリズム隊は一人だと続けづらいなと思いました。バンドとか組んでいればいいんですけど。 ――そういえば監督がギターを買ったから、それでバンド組めたらいいなというお話も当時されていましたけど。 これは予想ですが、風間(太樹)監督もギターは弾いていると思いますけど、やっぱり忙しい方なのでバンドやろうとか、おそらくそこまでの余裕はないと思います(笑)。 ――楽器を弾くような役が来たときに、またやれたらいいなというのもありますよね。 そうですね。またそういった役が来たら嬉しいですけど、新しい楽器だったらあまりやれる気がしないです。実際、ちゃんと演奏するとなるとすごく大変です。 ――当時のインタビューで1カ月半ほどベースを練習されたと言っていました。 1カ月半みっちりやりましたから。例えば自分がやったことがないドラムの役が来たとして、もちろんオファーが来たら頑張ってやりますが、イチからやるとなるとかなり厳しいのは確かです。 ――ところで、『ゴールデンカムイ』や『他人は地獄だ』などとは全く違う役柄だった『バジーノイズ』からは、どんな学びや発見がありましたか。 本当に客観的に観てかっこいい役だなと思っていて、大浜陸のような役を演じられることも幸せなことだなと思いました。すごく青春だったし、「これ見てよ」って親とかに言いやすいみたいな(笑)。 ――(笑)。個性的で刺激が強い役が多いですから。 『他人は地獄だ』に関してはまだ親に言ってないです。おそらく知っているとは思いますけど(笑)。(※取材時) ――危なさを感じさせる役と爽やかな役、バランスが取れた1年だったかもしれないですね。 そうですね。去年はドラマに多く出演したなという感じでしたが、今年は映画が多かった1年でした。来年公開されるものもすでに何本か撮り終わっているものがありますし、いま撮っているものもあり、僕は1年という単位で区切れないなと思っています。 ――お話を聞いていて、今を生きている感覚が強いのかなと思いました。 2024年が終わったから2025年から新しいことを、という感じではないんです。この作品が終わったら、次の新しい作品といった感じで、自分は常に作品で区切っている気がしています。1年間で区切っている感覚はここ数年ないです。 ――今の時期だと「来年の目標は?」と聞かれることも多いと思いますが、そういう区切り方だと答えに困りますよね? そうですね。現在撮影中の作品は来年まで続きますし、それが撮り終わって新しい作品の撮影に入ると思うので。 ――では、こういう自分で在りたいというような理想はありますか。 基本そういったものは持っていないです。でもこれは“超理想”なのですが、子どもができて、家族を養って、そういう幸せな家庭を持つことが理想かもしれないです。もちろん役者として次のステージへみたいなものは常にありますが、とにかく芝居ができる環境を絶やさないように努力していきたいです。自分でイチから作りだすといういうものではなくて、いただいた役を120%以上で演じられるようにするのが、役者としての理想です。 (おわり)