中日のドラ1小笠原は、甲子園優勝投手は成功せずのジンクスを破れるか?
この試合を解説した元阪神、ダイエー、ヤクルトの池田親興氏は、「度胸」「肉体」「ポテンシャル」の3要素を兼ね備えていると評価した。 「度胸があるね。満塁で今宮に対して、インサイドをストレートで攻めた。一発が怖いはずの左打者の柳田にも外へ落として逃げるようなボールを使わなかった。左打者に外へのチェンジアップはなかなか使えない。さすが甲子園の優勝投手。何年もプロにいるかのような勝負勘のようなものが備わっている。走者を出すと、セットで少し長く持ったり、タイミングを外す工夫のようなこともしていた。勝つためには何が必要かを知っているピッチャーだね。 ストレートは、最速147キロ。もっとスピードは出るだろうと感じさせた。伸びるボールじゃないが、ソフトバンクの大隣のような重い球質を感じさせた。チェンジアップも良かった。しっかりと腕が振れていたし、打者は手を出す。ストライクが取れてウイニングショットにもなる。始球式に女子競輪の選手が出てきて、その太ももに驚いたけど、小笠原の下半身はそれ以上。下半身をうまく使えて投げているフォームにも安定感があった。高卒ルーキーにありがちな線の細さがない。最強打線のソフトバンクに対して、これだけやれた、という大きな自信をつかんだのではないか」 圧巻は、立ち上がりから二回に跨いだ柳田、内川の連続三振のシーン。昨季の交流戦MVP、柳田に対してはストレートでカウントを整えて最後はチェンジアップ。バットを大きく空を切らせた。内川には、145キロの高めの見せ球ストレート。その手の誘い球に滅多に手を出すことのない球界屈指の好打者が三振に倒れた。 池田氏が指摘した5回も、3者連続四球で自ら無死満塁の絶体絶命のピンチを作ってしまったが、果敢に今宮のインサイドをストレートで攻めた。押し込んで三塁ゴロ。最高の形のホームゲッツー。一塁が空いたが、続く柳田とは勝負した。カウントを追い込んで、アウトコース一杯を狙った渾身のストレートはボールの判定。結局四球で二死満塁となったが、ここで4番の内川に、またストレート勝負。センターフライに終わった内川は、悔しさを隠さなかった。無失点に切り抜け、谷繁監督に「何かを持っている」と言わせた。 小笠原は、夏の甲子園優勝投手が背負うジンクスを打ち破ることができるのだろうか。