「新しい認知症観」を明示 国の基本計画固まる
政府の認知症施策推進関係者会議が2日に開かれ、1月施行の認知症基本法に基づき国が策定する認知症施策推進基本計画案を大筋でまとめた。認知症とともに希望を持って生きるという「新しい認知症観」を打ち出し、施策の立案、実施、評価に認知症の人や家族が参画することを明示した。秋ごろ閣議で正式決定する。 基本計画は認知症施策推進大綱(2019年6月策定)を継いで国の認知症施策の根幹となる。計画期間は29年度までの約5年。 厚労省の推計で22年の認知症(約443万人)と軽度認知障害(約559万人)の高齢者の合計が1000万人を超える中、誰もが認知症になり得る時代と捉え、認知症になったら何もできないという誤解や偏見をなくしていく。 基本的施策としては▽認知症に関する国民の理解増進▽認知症の人の生活のバリアフリー化▽相談体制の整備▽予防、治療の研究推進――など12項目を盛り込んだ。 重点的目標は▽国民の新しい認知症観の理解▽認知症の人の意思の尊重▽認知症の人や家族が地域で安心できる暮らし▽認知症に関する新たな知見や技術の活用〓の4点。それぞれ達成状況を評価する指標をプロセス(過程)、アウトプット(実施)、アウトカム(結果)と段階をつけて設定した。 各自治体は計画の策定が努力義務とされており、今後国が示すガイドラインを参考に策定する。介護保険事業計画と連動させることが想定される。 会議には3人の認知症の人が委員として参加し、意見を述べてきた。同日、春原治子さん(80)は「地域で新しい認知症観を根付かせることこそが、認知症の人の尊厳ある暮らしへの第一歩だ」と話した。