AI検索サービス…自動で情報集約の「利便性」の一方、著作権侵害や独禁法違反の指摘も
【ニューヨーク=小林泰裕】米グーグルが圧倒的なシェア(占有率)を持つインターネット検索サービスで、AI(人工知能)の開発企業による生成AIを使った検索サービスの開始が相次いでいる。AIが情報を要約した文章を検索結果として提示するサービスは従来の検索よりも利便性が高いとされるが、著作権侵害など普及には解決すべき課題も少なくない。
米オープンAIは先月、毎週2億5000万人が利用するとされる対話型AIサービス「チャットGPT」に、AI検索機能を追加した。日本や米国の有料会員が利用可能で、無料会員についても数か月以内に利用できるようにするという。
このほか、AI検索は、オープンAIと提携する米マイクロソフト、日本のソフトバンクと提携する米新興企業パープレキシティも提供している。グーグルも今年5月、「AIオーバービュー」の提供を開始した。
AI検索は、AIが関係する各サイトから集めた情報を要約した文章を表示するため、利用者は検索結果を得るためにサイトを訪問しないで済むのが特徴だ。
ただ、株価やスポーツの試合結果などの検索結果に誤情報が表示されたり、回答の情報源となった報道機関の記事の無断利用が指摘されたりと、問題は後を絶たない。米紙ウォール・ストリート・ジャーナルの発行会社は10月、パープレキシティを著作権侵害で提訴。日本新聞協会も7月にAI検索は著作権侵害の可能性が高いと指摘する声明を出した。
世界の検索サービス市場で9割のシェアを握るグーグルに対しては、AI検索について当局が厳しい姿勢を見せている。
グーグルの検索サービスが反トラスト法(独占禁止法)に違反しているとの米連邦地方裁判所の判決を受け、米司法省は今月、グーグルの検索サービス市場の支配を解消するための処分案を同地裁に提出した。
処分案では、グーグルの検索サービスと関係の深いウェブブラウザー「クローム」の売却を求めたのに加え、グーグルのAI検索の回答に情報が使われることをサイト側が拒否できる仕組みの導入も盛り込まれた。サイトの情報の無断利用を問題視した模様だ。