3人に1人が「痔」と言われる現代。正しい予防法・生活習慣を医師が解説
痔は思った以上に一般的な病気で、なんと「3人に1人が痔持ち」と言われています。生活習慣に原因がある場合も多くセルフケアが重要ですが、多くの人が正しい知識を持っていないのが現状です。 普段どのようなことに気をつけたらよいか、予防や治療法について、消化器内科専門医の石岡先生に解説してもらいました。 [この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]
痔ってどんな病気?
編集部: 3人に1人が「痔持ち」と聞いたことがあるのですが本当でしょうか? 石岡先生: 「痔」といえば出血・痛みといった症状をイメージする方が多いと思います。このほか、かゆみや脱出、粘液漏出なども代表的な症状のひとつです(※1)。 これらの症状を伴う痔を持っている方はおよそ10人に1人(約4~13%; ※2,※3)とされていますが、実際には無症状でも痔を持っている方もいるため、3人に1人以上が、いわゆる「痔持ち」であると推定されています。 ※1. 日本大腸肛門病学会. 肛門疾患(痔核・痔瘻・裂肛)・直腸脱診療診療ガイドライン2020年版. 南江堂 ※2. Johanson JF, et al. The prevalence of hemorrhoids and chronic constipation: an epidemiologic study. Gastroenterology. 1990;98:380-6. ※3. Acheson RM. Haemorrhoids in the adult male: a small epidemiological study. Guys Hosp Rep. 1960;109:184-95. 編集部: いぼ痔や切れ痔はよく聞きますが、痔にも種類があるのですか? 石岡先生: 「痔」は主に「痔核(いぼ痔)」「裂肛(切れ痔)」「痔ろう(あな痔)」の3つの病気を総称したものを指します。中でも一番多いのがいぼ痔です。 いぼ痔は一般的には「肛門クッション」と呼ばれるお尻の血管などが集まった組織が腫れたもののことを指し、腫れが大きくなると脱出したり、血管が切れて出血したりといった症状が出現します。 編集部: いぼ痔を放置するとどうなりますか? 石岡先生: いぼ痔を放置すると「がんになるのではないか?」と心配される方が時々いらっしゃいますが、基本的にいぼ痔ががん化することはありません。ただし、注意が必要なのは出血があった時に「これは痔の症状だろう」と決めつけてしまい病院を受診しないことです。 直腸がんや大腸がんなどによる出血は、時にいぼ痔の症状と似ているため、放置することによって病状が進行してしまう可能性があります。 「血便が出た」「お尻を拭いた紙に血がついた」などといった症状が見られた場合は一度専門家を受診し、正しい診断を受けるようにしましょう。