2025年冬に上陸、中国EV「ZEEKR」が脅威と言われる理由、スピード経営で急成長、日本市場の攻略に自信
開発スピードも恐ろしく速い。ZEEKRにはデザインを含めたクリエイティブスタッフは500名おり、世界中で繋がってデザインが進行している。しかもデザイナーの国籍も30カ国に上り、多様なニーズにも応えられるとしている。 ZEEKRの最初のモデル「001」はスウェーデンのヨーテボリがメインスタジオで、スウェーデン人を中心としたデザイナーたちがデザインした。中国にもデザイナーが50名いて、スウェーデンと中国でVRゴーグルを使いバーチャルの世界でデザインを進めていく。自身のアバターで車両の周りを歩き、細部を覗き込んでデザインの意見交換をしながら作り上げていく。
日本のカーメーカーでも一部導入しているやり方だというが、違うのはこの先で、社内の各部署の承認を取らずに、デザインの最終決定がデザイン部でなされる。 この話を国内カーメーカーのエンジニアにすると「ぜひ記事に書いてほしい」と言われた。国内メーカーは各部署の承認を取るのに時間がかかり、さらに修正も入るため、市場投入までに時間がかかるのだという。対して、デザイン部門でデザインを決められるZEEKR。「なるほど、それならスピーディに作れる」と感じるものがあった。
ちなみにデザインの最終決定をする人物はStefan Sielaff(シュテファン・ジーラフ)氏で、ベントレーやアウディのデザインをした人物としてクルマに詳しい方ならご存じかもしれない。 ■デザインをレクサスから学ぶ ZEEKRのデザイン哲学は「Generous spirit,Human touch,Hidden Energy」、簡単に言うと「人にあたたかく、エレガントでダイナミック」といったところだ。EVはそのレスポンスのよさや効率のよさからドライビング・ダイナミクスに目が行きがちだが、エクスペリエンスを大事にしているという。
「あたたかなデザインは、レクサスから学びました。竹を使った内装(ステアリング)に感銘を受け、冷たく正確な機械を提供するのではなく、居心地がよくて、座り心地がよい空間が体験できるクルマ作りをしています」と副社長のマーズ・チェン・ユ氏は語った。 実際、中国人のクルマに対するニーズは、運転する歓びや、ドライビングの楽しさといったドライビング・ダイナミクスより、車内で何ができるか、が最も大きいという。したがって、ダイナミック性能を重視した車両と快適空間を重視した車両を別々にラインアップする必要がある。かつて乗り心地などに仕向地仕様はあったが、ニーズの仕向地仕様まで出てきているわけだ。