元世界王者の内山高志が新ジム開設で第2の人生をスタート
プロボクシングの元WBA世界スーパーフェザー級王者の内山高志(39)が25日、東京新宿区四谷3丁目4にオープンさせた新ジム「フィットネス&ボクシング KODLAB」のお披露目会見を行った。プロボクサーを養成するプロジムではなく、ボクシングだけでなくダイエットや運動不足解消など幅広い目的のフィットネスジム。キッズクラスもあり「子供たちの心も強くしたい」という。将来的には、もう一軒、別にプロジムを開設して未来の世界王者の育成に乗りだすプランもあるというが“ノックアウトダイナマイト”が、引退から1年、第2の人生を歩み始めた。 レンタルオフィスがあったワンフロアをぶち抜いて改装した新しいジムは「自分の趣味に合わせた」(内山)と黒を基調にしたスタイリッシュな空間だ。昨年の7月の引退後すぐに物件を探してきたが、ようやく見つけたのが、この9月。 「楽しく居心地のいい場所」をコンセプトに、4メートル×4メートルのコンパクトなリングがあり、フリースペースには、大型のサンドバッグ、全身のトレーニングが可能な最新のトレーニングマシンや各種ダンベルなどのウエイトトレーニング施設も完備している。現役時代からウエイトトレーニングに取り組み、肉体のメカニズムや、その効果を熟知している内山らしい“こだわり”が随所に見られる。 「KOD LAB」の命名の由来は、現役時代の呼び名だった「ノックアウトダイナマイト(KOD)」に研究所の意味がある「LAB(ラボ)」を合体させたものだ。 だが、未来の世界王者を育成するプロジムではない。 「プロの育成は難しい。まだ今の僕にはプロは育てられないと思ったので、最初からプロジムは作る気はなく、まずは自分が趣味的にトレーニングできるような場所を作ろうという考えからスタートした。ボクシングを知らない人でも、運動不足の解消やダイエットなどに楽しく利用して欲しい。もちろん、体を強くしたい、トレーニングを追求したい、という人にも対応できる」 基本的には、グループレッスン方式でボクシングのミット打ちなどを取り入れた独自のメソッドが用意されている。 また「キッズクラス」もあり「子供たちには、挨拶、礼儀から始めて、体と心も強くしたい」ともいう。 スタッフには、現役時代にコンビを組んでいた佐々木修平、元日本スーパーバンタム級王者の福原力也らが常駐。内山も、「週に5日は、ここにいます」と自らミットを持って会員さんの指導にあたるという。 ボクシングを使ったフィットネスがメインのジムだが、指導者陣は、プロ中のプロ。五輪を狙うアマチュアボクサーの養成もできるし、所属ジムや競技の垣根を越えて門戸を開く。「いろんなボクサーからも問い合わせがある。ここで汗をかいてもらえれば」と内山。佐々木トレーナーが専属トレーナーを務めている関係もあり、大晦日に4階級制覇を狙う井岡一翔も練習に訪れている。ボクサーだけでなく、キックボクサー、総合格闘家らからも問い合わせがある。 「将来的には、プロの育成をするかもしれないが、それは、また別の場所でやると思う。まずは、ここを軌道に乗せたい。ボクシングでは世界王者となったが、経営の世界ではまだ4回戦。まずは四谷3丁目での町内チャンピオンを目指します」 プレオープンは27日からで体験入会を募集している。目標としている会員数は500人から600人。この日は、親交のある日ハムの中田翔や西川遥輝からも花が届き、内山を慕うワタナベジムの元2団体統一王者の田口良一や大晦日に大一番を控える京口紘人ら後輩ボクサーが祝福に駆けつけていた。 11度タイトルを防衛するなど、日本のボクシング史に名を残した名王者のセカンドキャリアは、従来型のジム経営ではない面白いものになりそうである。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)