【高校サッカー選手権】たくましい西武台が戻ってきた!埼玉平成を3-0で退け3年ぶりのベスト4進出
第103回全国高校サッカー選手権埼玉予選は11月3日、浦和駒場スタジアムで準々決勝の残り2試合が行われ、西武台が埼玉平成に3-0で快勝し、11月10日の準決勝(NACK5スタジアム)で浦和学院と対戦することになった。西武台のベスト4入りは3年ぶり18度目となる。 【フォトギャラリー】埼玉平成 vs 西武台 インターハイ(総体)予選準優勝で、プリンスリーグ関東2部で戦う西武台は4-4-2の陣形を敷き、相手の長いキックに注意しながら外を中心に攻撃した。 先制点はラッキーな形から生まれる。前半6分に右CKを獲得。ボランチ広瀬陸(2年)のキックはそれほど難しい球筋ではなかったが、捕球態勢に入ったGKがファンブルしてゴールに転がっていった。 2点目もセットプレーから奪った。左CKもキッカーは広瀬で、23分にゴール前に入れたボールを相手DFがクリアしたが、西武台の選手に当たって混戦となり、こぼれ球を素早く回収した左2列目の鈴木洸晴(3年)が豪快に蹴り込んだ。 前半終了間際に3点目を奪取し、圧倒的優位な立場で後半を迎える。右2列目の藤木浩人(3年)が、FW竹内奏海(3年)の出色の左クロスにファーサイドへ飛び込み、完ぺきなタイミングでヘディングシュートを突き刺した。 昨年の関東高校大会予選で準優勝し、本大会でも1勝を挙げた埼玉平成はアンカーの伊勢亀譲(2年)が、斜めと縦に長短のパスを散らし、佐藤快琉や中里栞斗(ともに3年)の両ウイングがスペースへの進入を狙った。 しかし西武台は前から厳しく監視し、主将のCB谷口輝(3年)が軸となる守備陣形が崩される場面はなかった。埼玉平成は前半、シュートを1本も打たせてもらえなかった。 西武台は後半も序盤から主導権を握り、5分に右SB鈴木煌平(2年)が右に外れる惜しいヘッド、6分には竹内が強シュートを放ったがDFにブロックされた。 選手交代で流れを変えたい埼玉平成は10分、後半開始から送り込まれたFW柳田翔(1年)が、右SB小島陽夢(3年)の蹴った右CKからヘディングシュート。24分にも右CKをMF中村悠亜(2年)が合わせたが、いずれも決められなかった。後半は4本のシュートを記録したが、ゴールネットを揺らせなかった。 埼玉平成は初めて準々決勝に進んだ第95回大会でも西武台と対戦。0-4で敗れたが、当時は2年生を主体に編成されたチームだった。 優勝した100回大会以来、3年ぶりにベスト4に進んだ西武台の守屋保監督は、「3点は考えていなかったが、運よく(先制点が)入ってラッキーな試合でした」と述べ、「3点取れたおかげで3年生を使ってあげられた」と4人の3年生を交代で起用できたことを喜んだ。 2年前のU-16ルーキーリーグで全国4位に入った陣容が3年生となり、同監督は3年生の担任を受け持っている。3年生に出場機会を与えたかったのには訳がある。 「3年生が引っ張り、練習量は最近が一番多く精神的にも強くなっています。合同練習後には(下級生の)パートナーを買って出ているし、下のカテゴリーの試合にも休みなしで見学に来てくれるんですよ」 今大会に入る前、3年生で頑張っていこうと結束したそうだ。谷口は「練習もよくこなせるようになり、すごくいい雰囲気で予選を迎えられました」と話す。その谷口と1カ月前からCBを組む2年生の高倉大翔は、頼もしい先輩に感謝する。「隣りの谷口さんと後ろの(GK)松田(聖也)さんが的確な声を掛けてくれるので、短い時間でも戦術や連係などにはすぐに慣れました」と自信を持ってプレーできている背景を説明する。 プリンスリーグでは不振だが、今大会に入ってチームに一体感が生まれ、たくましい西武台が戻ってきた。 (写真・文=河野正)