「シニア通販の雄」ハルメクに学ぶマーケットの今とこれから。アナログ+アクティブシニア向けは「安定成長・安定収益ビジネス」
「シニア通販の雄」ハルメクホールディングス(HD)は、(1)65歳以上のアクティブシニアビジネスの安定成長(2)50歳代のプレシニア開拓(3)中国での物販ビジネス準備――といった戦略を掲げ、規模拡大めざす基本方針を示した。
ハルメクHDのメイン事業は「ハルメク事業」と「全国通販事業」で、メインターゲットは、65歳以上の「アクティブシニア」。このユーザー層への事業はアクティブシニア基盤事業と呼んでおり、ハルメクHD傘下のハルメクが月刊誌「ハルメク」の発行や通販事業、全国通販が総合通販事業の「全国通販事業」を手がけている。 「ハルメク事業」は、シニア向け雑誌「ハルメク」の出版で顧客を獲得、雑誌に共感した顧客に対して、特集連動のオリジナル商品などを、同封して送付するカタログ通信販売で提案・販売する。また、イベント部門が講座や旅行などを提供し、顧客の満足度を高めるとともに収益を伸ばしている。書店では購入できない雑誌「ハルメク」は自宅へ送付する定期購読のみで展開。2024年3月時点での購読者数は48万人を超える読者を抱える。 「全国通販事業」は、新聞広告などで集客した顧客に通販カタログ「ことせ」を送付し、商品などを販売。「ハルメク事業」と同様、シニア女性をターゲットにしているが、商品の価格が低価格であるため、「ハルメク事業」の顧客属性とは異なる。
ハルメクHDの推計では「アナログ×アクティブ」シニアは830万人いるとし、ハルメクの推計シェア率は約7%。「基本的に安定成長・安定収益ビジネス」(ハルメクHD)で、拡大の余地はまだあるとし、基盤事業として中期的な安定成長をめざしている。
雑誌「ハルメク」の情報コンテンツを中核に、通販や実店舗運営などの物販事業、イベントや講座などといったコミュニティ事業を連動。ロイヤリティを高め、商品・サービスの利用率を高めていく。
新規獲得は、広告や実店舗展開を通して獲得していく方針。情報コンテンツと物販分野では、TV広告などを活用したクロスマーケティングによる獲得手法確立に取り組む。そのほか、商品分野では靴やインナー、コスメといったハルメクオリジナル商品の展開も強化し、M&Aも推進していく。 長期的な課題としてシニアがアナログからデジタルへ徐々に移行していることもあり、基盤となっているアナログ×アクティブシニアは減少していく領域であるとハルメクでは見込んでいる。そのなかで、ハルメクは50歳代の「プレシニア」を主たる顧客としてデジタル事業に先行投資し、事業基盤を整える。