世界で「YOASOBI現象」第2次ジャポニスム時代が到来 世間で揶揄の〝ガラパゴス文化〟こそ日本の経済的武器に
「ガラパゴス」という言葉は、〝独自の進化によって世界の潮流から取り残される〟という批判的な意味で使われることが多い。だが、国際投資アナリストの大原浩氏は、日本の「ガラパゴス文化」こそ、経済的武器になると強調する。かつては日本の浮世絵が世界の美術に影響を与えたが、現在は日本の音楽ユニット「YOASOBI(ヨアソビ)」が世界でヒットするなど、第2次ジャポニスム(日本趣味)」の時代が到来しているというのだ。 【写真】ビルボードジャパン年間チャートで6冠を達成したYOASOBI 「クール・ジャパン」という言葉は最近あまり聞かなくなった。しかし、それは決して国策の失敗ではない。むしろ、日本がクール(かっこいい)ということが世界中に認知されたから、「ジャパン」という言葉が、かっこよさの象徴となったといえる。 そのかっこよさを世界に知らしめたのが日本のマンガ、アニメ、ゲームなどである。安倍晋三元首相が2016年のリオデジャネイロ五輪の閉会式でマリオに扮(ふん)して登場し、世界を沸かせたことは読者もよくご存じのはずだ。 音楽分野でも「日本のかっこよさ」が認識されつつある。昨年、YOASOBIの「アイドル」が米ビルボード・グローバル・チャート「Global Excl.U.S.」で首位を獲得したことが話題になった。 この「YOASOBI現象」を理解するには。音楽プロデューサー、山口哲一氏の鋭い分析が参考になる。 日本の音楽業界はそれなりに大きな市場だったため、日本市場での成功ばかりを考えていた。たまに「海外進出」と騒がれても、結局は「海外に進出したという事実で(日本国内で)箔(はく)をつける」以上の意味はなかったという。 製造業において「日本品質」という武器を持ちながらも、「広告・宣伝」といった売り込みが弱いといわれたことと共通した現象である。 だが、人口減少が進むなかで、「本当の意味で海外を意識した活動」を行ったのがYOASOBIなのだという。 過去にも日本が注目された時代があった。マネ、モネ、ゴッホなどの画家が浮世絵の影響を受けていることは有名だ。