「傷つく権利ないよね、仕事できないんだから」上司からひどい仕打ちを受けた女性が人事部で大活躍のワケ
■ありのままに受け入れてもらうと心が整う <プロセス② 価値観を見出す> 工藤さんは、このような経験からどのような価値観を発見したのでしょうか。それは、「受容」でした。「受容」されなかった経験が、工藤さんに「受容」の大切さを気づかせてくれたのです。 工藤さんは、大変な思いをしているときに、同僚の中に、「ちょっと休んだら?」と声をかけてくれる人もいたことを思い出しました。アトピー性皮膚炎で顔が赤く炎症を起こしているときも、ある友人は、「隠さなくてもいいんじゃない?」と言ってくれたことがありました。 工藤さんは、「あっ、隠さなくてもいいんだ。自分らしくしていいんだ」と気づき、ほっとしたものです。こうした振り返りから、人の感情、想い、考えをありのままに受け入れてもらうことの大切さを、身に染みて感じたのです。 思い返せば、工藤さんは、職場で困っている人がいると、助けずにはいられない体質になっていました。後輩が落ち込んでいるのを見ると、思わず、「大丈夫?」と声をかけるようになっていました。 「お互いを受容し、お互いに助け合う」工藤さんは、このことを心から自分の人生で大事にしていきたいと思うようになっていったのです。 ■受容して得た価値観を組織に広げる体験も <プロセス③ 自分の価値観を体現する> そんな工藤さんの姿勢が、管理部門を管掌している役員の目にとまります。工藤さんは、人事部のリーダーに抜擢されました。工藤さんはその役員から、既存事業を効率的に回すだけでなく、新しいことにどんどんチャレンジする文化をつくってほしい、というミッションを授かりました。 この打診に工藤さんはびっくりしましたが、もしかしたら、自分が大事にしたい、「受容」という価値観を組織に広めるチャンスなのかもしれない、とピンとくるものがありました。工藤さんは、お互いを受容している組織のほうが、人はどんどんチャレンジしやすいのではないかと思っていたのです。 役員の依頼を引き受けた工藤さんは、この仕事に全力投球しました。「お互いを受容し、お互いに助け合う」ことのできる、職場づくりにまい進していきました。掲げたビジョンは、社員1人ひとりが笑顔になり、みんなが「ただいま」と言える組織をつくること。 工藤さんは社員の採用と育成、そして組織の文化醸成まで、一手に担っています。工藤さんは、今までの経験がやりたいことと見事につながった、と感じています。たとえば、新規事業立上げの際に、大変ながらも採用などの人事の仕事も手掛けていたことが本当に今、役に立っています。