日焼け止めの「SPF」と「PA」はどちらを気にするべき?化粧品開発者が解説する<紫外線>の危険性。
◆もっとも怖いのはUVA 紫外線には波長の長いもののほうからUVA(400~315nm)、UVB(315~280nm)、UVC(280nm未満)という3種類があります。 それぞれ下のような特徴があります。 UVA(400~315nm):色素沈着(サンタン) UVB(315~280nm):日焼け(サンバーン)、ビタミン生成 UVC(280nm未満):殺菌作用 UVCは3つの中でもっとも波長が短いのでエネルギーも最も高くなります。 コンビニの入り口などでたまに見かける青い光の殺菌灯に使われている紫外線がまさにUVCです。 しかしUVAやUVBのほうが、美容業界では圧倒的に話題に上がることが多いです。それはUVCが大気によってほとんど吸収されているためです。 波長が長いUVAは紫外線の中でもっとも奥まで届きます。赤外線ほどではありませんが表皮をとおりこして真皮まで届いてしまいます。 UVBの場合は肌表面が焼けたりメラニンが増えたりするだけですが、UVAの場合は肌の内部構造や遺伝子を傷つけ、シワの直接的な原因になります。
◆UVA用の効果数値「PA」 開発当初のUVクリームは日焼け対策を主な目的に開発されたため、防ぐ紫外線はUVBだけでした。 「SPF」という言葉がすっかり浸透していますが、この数値もUVBに対する効果だけを表したものです。 しかし紫外線への理解が進むにつれ、UVBよりもUVAの方が怖いということがわかってきました。そこで「PA」というUVA用の効果数値が新たに登場しました。 よく知られている通り、UVAは冬場でも量があまり減少しません。地表に届く紫外線の99%がUVAになることもあります。 皮膚の真皮にまで到達し、肌の弾力を生み出しているたんぱく質を変性させ、老化とシワを促進します。 ちなみに、UVAによる色素沈着(サンタン)はUVBによって生成されたメラニンがUVAによって褐色に変色したものです。 夏は対策をとるかたが多いので、紫外線問題とはむしろ冬場のUVAだと訴える研究者もいます。 美肌を長続きさせるためには、一年を通じた「UVA対策」が必要です。 ※本稿は、『美容の科学:「美しさ」はどのようにつくられるか』(晶文社)の一部を再編集したものです。
尾池哲郎
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