「空の女王」ジャンボ、目の前で見られるラストチャンス到来か 沖縄にある国内唯一の整備専門会社が見学ツアー検討
そして6月中にも、このNCAのジャンボが初めて那覇空港に降り立つとの情報もある。 ▽間近で見るジャンボ 「おはようございます」。1月末、寒さが身に染みる朝の成田空港に十数人のMJPの整備士たちが集結していた。初めてのジャンボ機整備に向け、前日に沖縄から成田に入っていた。 NCA本社に到着すると、ヘルメットとベストを着用し、いざ格納庫へ。自動ドアを抜けると、すぐに巨体が飛び込んできた。 そろいの作業着姿で、打ち合わせを始める。「頭上、足元、注意、よし!」。かけ声とともに、整備士たちがそれぞれの作業場に散っていく。この日の整備は約1000時間の飛行ごとに行う「A整備」だ。 「グウーン」という腹に響く音とともに、4つのエンジンのカウル(カバー)が開く。整備のリーダーで1等航空整備士の吉田真吾さんが説明する。「開いたカウルが急に閉じないよう固定します。まだ作業前の準備です」。
作業内容はエンジンや車輪などの点検やオイル交換だ。金づちやドライバーといった工具ひとつにも管理は厳密で、工具箱から、出しては戻し、を繰り返しながら作業は進んだ。 突然、「これ、どうぞ」と耳栓を渡される。すると、エンジンに点火する直前まで回転させる「ドライモータリング」が始まった。油漏れがないか、コックピットの表示は正しいかをチェックする。4基のエンジンを順番に回すと、「キイーン」という特有の回転音が響いた。 新たな整備に乗り出すに当たって、乗り越えなくてはならない法的な側面もあった。整備士の訓練には何が必要か、どんな道具が必要か―。航空機の整備の要素は「4M」と呼ばれる。メソッド(方法)、マテリアル(材料)、マシン(設備)、マン(人)だ。品質保証部の小林優貴さんは必要な社内態勢構築や官公庁とのやりとりを担当。「国土交通省の認可をもらうために飛び回りました」と振り返る。 整備リーダーの吉田さんは表情を引き締めてこう強調する。「トラック運転手の不足など物流問題に注目が集まる中、航空貨物の需要は高まるでしょう。その中でNCAの機体に携わることは大変光栄です」
普段は那覇空港が拠点で、沖縄出身の山端大智さんは恥ずかしそうに打ち明けた。「やはり寒かったです」。それでも力強く今後を見据えた。「手順に沿って正確に作業することに変わりはありません。一つ一つの確認を大切にする整備士を目指したい」