「空の女王」ジャンボ、目の前で見られるラストチャンス到来か 沖縄にある国内唯一の整備専門会社が見学ツアー検討
今年1月10日、NCAとの調印式に続いて行われた記者会見でMJPの高橋隆司社長はこう切り出した。 「今回の契約を受け、成田空港に整備士を派遣してエンジン交換などの整備をし、そしてジャンボを沖縄に運んでペイント(塗装)したい」 続いてNCAの小堀寿亮専務が言及した。「将来的には那覇空港での重整備もあり得る」 ▽「着陸できません」 華々しく打ち上げられたかに見える那覇へのジャンボ誘致だが、そこに至るまでには高い壁を乗り越える必要があった。原因はやはりその大きさだった。 そもそも、ジャンボの整備を請け負うという話は2022年秋ごろにMJPに舞い込んだという。それまで小型機を中心に整備してきたMJPはこの情報に沸き立った。 社内態勢の構築を進める中、事態が一変したのは翌2023年夏のことだ。国土交通省航空局の担当者はこう明かす。 「一度は『着陸は難しい』と指摘しました」
一体、どういうことか。国交省の説明はこうだ。 実は各空港ごとに離着陸できる機体の大きさが決められている。かつて国内外を飛び回った747―400と比べ、最新の747―8Fは全長が5メートル、翼幅が4メートルほど長くなった。そのため国の規定では、緊急時を除いて那覇では8Fの運航が認められていなかったのだ。 それでもMJPは諦めなかった。合い言葉は「なんとか沖縄へ」。ANAからも国を説得するためのアドバイスをもらったという。ANAは2021年、ジャンボより大きい総2階建てでエンジンも4基搭載のエアバスA380を遊覧飛行のために那覇空港に降り立たせていたからだ。 MJPはこのように説得し、国との交渉を進めたという。 「定期便ではないことに加え、発着は年に数回だけで、他の旅客機が少ない夜間に限定します」「出発が遅れた場合には取りやめにします」 交渉を重ねた末の2023年11月末、国は「安全上、問題はない」として、ゴーサインを出した。国交省関係者によると、実は国側としても、当初から「認可には前向きだった」という。沖縄の地で航空産業を発展させるという意義を国が重く見たとも言える。