《相続会議》父に「遺産をどうするつもりなの?」と軽い気持ちで聞いたら激怒され… 実家で相続話を切り出す際は「まず母親を口説く」が鉄則
年末年始に実家に帰省し、久々に親やきょうだいが集うのであれば、今年は必ず片付けておいたほうがいい話題がある。それが相続だ。2025年は「不動産リスク」が迫るとされており、家族が集まるこのタイミングで遺産の整理や配分について話し合っておけば、手間を大幅に省けるだけでなく、相続を優位に進めることも可能になるという。 【表】「お母さんがひとりになった後に心配だからそろそろ相続のことを話そう」…他、主導権を握る賢い相続話の切り出し方
相続専門の行政書士・中田多惠子氏によれば、2024年の年の瀬は家族で「相続会議」をするまたとないチャンスだという。 「来年は『空き家2025年問題』がやってきます。すべての団塊世代が後期高齢者になり、空き家が激増すると見られているのです。供給過多により不動産価格は下落し、相続による所有者変動も頻発する。売るに売れない“負動産”が増え、実家の始末が格段に難しくなると予想されています。 だからこそ、家族が集う貴重な機会である年末年始の間に、自宅を含む財産全般を今後どうするのか、相続会議をしておくべきです」 家族の話し合いでは財産の把握や整理、相続人の選定や財産の分け方について決めておくことが望ましいが、「気をつけたいのは、話の中身より切り出し方です」と中田氏は言う。 「相続は『親の死』を前提にした話なので、切り出し方が難しいんです。親子間で“タブー”になってしまうケースが少なくないうえ、いざ話し合おうとしても入り口を間違えると相手が怒ってしまったりして、関係がこじれやすい」 80代の父を持つ都内在住の男性Aさん(61)が実体験を語る。 「単刀直入に聞いたほうが答えやすいかと思い、里帰りした際に『親父は遺産をどうするつもりなの?』と軽い気持ちで聞いたんですが、父は『お前は俺に死んでほしいのか!』と激怒してしまって……。険悪な雰囲気になり、家族会議どころではなくなってしまいました」
Aさんのようにストレートな聞き方をすると、「財産を狙っているのか」と心を閉ざしてしまうケースが少なくないと中田氏は指摘する。 「親の気持ちに寄り添い、オブラートに包んで伝えましょう。そこで重要になるのが、母親を味方につけること。両親が健在の場合、母親に『お父さんが亡くなったら、ひとり残されるお母さんが心配。そろそろお父さんと相続について話してみてよ』と水を向け、両親が相続を話題にするように促すのです。 自分本位ではなく、あくまで老親を心配し、子としてできるだけサポートしたいという気持ちを伝えることが大切です」(中田氏)