来年3月に定年を迎え、「退職金1000万円」を受け取る予定です。家計管理をしている妻の口座へ入れようと思うのですが、税金はかかりますか?
退職金を受け取ったとき、普段から妻が家計を管理しており、退職金も同様に妻の口座へ入金する家庭もあるでしょう。しかし、金額によっては妻に対する贈与税の課税対象となる可能性があります。 今後の生活費として退職金を預けたいときは、課税されないように工夫しましょう。今回は、贈与税の課税対象となる条件や、課税されない方法などについてご紹介します。 ▼子ども名義の口座に「月3万円」ずつ入金してるけど、将来口座を渡すときに「贈与税」はかかるの? 非課税にすることは可能?
妻の口座への入金は贈与になる可能性がある
口座へ退職金を全額振り込む場合は、誰名義の口座か確認しましょう。たとえ生活費を支出するためでも、名義が妻だと妻の所有する財産として扱われるケースがあるためです。 もし妻名義の口座へ夫がお金を入れると、贈与として扱われ、全額ではなく、110万円(贈与税の基礎控除額)を超えた分が課税対象です。
1000万円の退職金が贈与税の課税対象になると税額はいくら?
今回は、以下の条件で退職金が夫から妻への贈与として扱われた場合の税額を計算しましょう。 ・夫以外からの贈与はない ・同じ年に退職金以外の贈与がない まず、1000万円から基礎控除額を引いた890万円が課税金額です。国税庁によれば、夫婦間の贈与は一般税率が適用され、課税金額が1000万円以下のとき、税率は40%、控除額は125万円のため、231万円を支払う必要があります。
課税対象にならないケースもある
贈与には、非課税になる項目がいくつか設けられています。例えば、生活費のために渡されたお金は、そのお金がすべて通常の日常生活のために用いられていれば税金はかかりません。生活費には治療費も含まれるので、例えば病院へ行くときに夫からお金を出してもらった場合なども非課税です。 ただし、渡されたお金を非課税項目で定められている目的以外に使用すると、その金額分は非課税とは認められません。必要に応じて税金を納める必要があります。 また、妻名義の共有口座から夫が生活費などを支出している場合も、課税されないでしょう。しかし、退職金は高額なため、場合によっては課税対象になるケースがあります。 退職金は一度夫本人の口座に入れておき、生活に必要な金額のみを妻の口座に入金したほうがよいでしょう。 また、退職金を使って中古の住宅を購入するときは「夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除」が適用される可能性があります。国税庁によると、婚姻期間が20年以上ある夫婦間で居住用不動産や居住用不動産の購入資金を渡すと、基礎控除額の110万円のほかに最大2000万円まで控除される制度です。 控除制度を使用して住居を購入する費用として退職金を妻に渡した場合は、税金が課されないでしょう。