疲労しやすくなった人の体に起きている「倍速老化」という症状
免疫は「攻撃役」と「制御役」で成り立っている
免疫には、外敵などを破壊する「攻撃役」のほかに、その破壊活動を適正範囲に収めてくれる「制御役」がいます。 私たちの体で免疫というシステムを支えているのは、おもに血液中の「白血球」です。ひと口に白血球と言ってもたくさん種類がありますが、役割から考えるとシンプルに「攻撃役」と「制御役」の2つに分けられます。 じつは免疫の大事な仕事である細菌やウイルスなどの攻撃すら、攻撃役だけでは成り立ちません。なぜなら攻撃役は、外敵を破壊し終えても攻撃をやめられないからです。彼らは、免疫の制御役が現れ「攻撃やめ!」と言ってくれないと止まらない武闘派、こう理解してくださって構いません。 この現象を、すり傷ができたときのことを例にお話ししましょう。 皮膚に傷がつくと出血し、場合によっては、そこが赤くなって腫れたり熱を持ったりして痛みますが、いずれきれいに治ります。どこが傷だったのかわからなくなるのを見て、人体の不思議を感じた方もいらっしゃるでしょう。
ケガをして治るまでにも活躍する2つの免疫
すり傷の場合、傷口から細菌などの外敵が入ることもあるため、免疫はすぐに反応して攻撃役が傷口近くに集まります。そして外敵だけではなく、創傷の際に壊れた細胞をガツガツと破壊し始めるように。 このとき免疫の攻撃役は、破壊をスピーディーに終えるために攻撃役の頭数を揃えるべく、攻撃しつつも仲間を呼び寄せるサイン(低分子のタンパク質)も出します。これは「ヤバいのがいるぞ!」という警報のようなもの。医学的には「炎症性サイトカイン」と呼ばれ、このサインが私たちに「痛み」を感じさせます。 このように体内で何かしらのトラブルが起き、免疫がそれに対応している状態が「炎症」と呼ばれる状態です。炎症とは読んで字のごとく、体の中で局所的に火がついている、火事が起こっているようなイメージですね。 こうして攻撃役が外敵を倒し終えると、今度は制御役が現れ「攻撃やめ!」というサインを出します。こちらは「抗炎症性サイトカイン」と呼ばれ、文字どおり炎症に抗うためのサインです。 その後、制御役は死んだ外敵や免疫細胞、傷ついた細胞などをまとめて掃除します。それらを体外に排出させるためにあるのが「膿(うみ)」で、血液中に運び込んで分解、浄化することも。血液は、酸素など細胞に必要なものを運ぶと同時に、体内の浄化にも使われます。そう考えると上下水道のようですね。 ──攻撃役がまず攻撃をし、制御役が出てきてストップをかける── このように面倒な段取りになっている理由は、免疫が、つねに体に入ってきた刺激に反応する必要があるからです。そして攻撃は、外敵を体内に広げないようスピードが重視されるので、少々手荒になってしまうこともある。そのため、攻撃役のやりすぎに制御役がブレーキをかける、という形なのでしょう。