戦没者の遺骨を米軍基地の埋め立てに…沖縄で42年間“骨を掘る男”の活動を基地問題が翻弄「冒涜は許さない」
終戦から79年、激戦地となった沖縄で、犠牲となった人々の遺骨を40年以上掘り続けている男性がいる。戦没者の尊厳を守るためのその活動が、いま、沖縄の基地問題に翻弄されている。 【動画で見る】泣きながら“大脱走”図る場面も…ウクライナから家族と避難したミアちゃん3歳 初めての「幼稚園の1日」
■沖縄で「戦没者の遺骨」を掘り続ける男性
沖縄県民の具志堅隆松(ぐしけん・たかまつ 70)さんはこの日、糸満市で木や枝をかき分けながら進み、辿り着いたのは「ガマ」と呼ばれる自然壕だ。
具志堅さん: 「これ砲弾。砲弾が地面に直立に突き刺さっている」
太平洋戦争末期、ここで日本兵が身を潜めていた。
具志堅さん: 「手前の方の下から、おひとり掘り出しました。その方は状況からみて、小銃を自分の喉につきあてて、右の靴をぬいで足の親指で引き金をひいて自決なさっている」
具志堅さんはこの場所をスコップでひたすら掘って「戦没者の遺骨」を探している。
■活動の目的は「二度と戦争を起こさせない」こと
沖縄では凄惨な地上戦が行われ、20万656人が命を落としたとされる。特にこの南部は戦闘が激しく、至る所にその傷痕が残っている。
具志堅さんは遺骨や遺留品から当時の状況に思いを巡らせ、戦没者の尊厳を懸命に守ろうとしている。撮影開始から5年をかけ、2024年6月から上映が始まったドキュメンタリー映画「骨を掘る男」には、その活動が丁寧に描かれている。 具志堅さん: 「遺骨収集をやる目的は?と言われたら、『家族に返したい』なんですけども、最終的な目的はというと『二度と戦争を起こさせない』だと思っているんです。それが、戦没者に対する最大の供養になると思っていて」
映画の中で、活動について「行動する慰霊」と話している。 具志堅さん: 「『行動する慰霊』っていうのは、死者に近づくっていうんですか。要するに見つかる、見つからないじゃなくて、近づこうとする姿勢が供養のひとつというか」 ボーイスカウトからの要請で、28歳の時に遺骨収集を始めた。医療機器の修理業を営みながら、ボランティアで活動を続け、現在70歳、これまでに400柱(はしら)もの遺骨を掘り起こしてきた。