視聴者の涙腺崩壊!神木隆之介主演『海に眠るダイヤモンド』最終回に用意された「怒涛のサプライズ」
「歴史に残る名作だと思っています」
回を追うごとに大きな注目を集めた神木隆之介(31)主演の日曜劇場『海に眠るダイヤモンド』(TBS系)。その最終回の2時間スペシャルが12月22日に放送され、怒涛の伏線回収劇に今もなお涙腺崩壊コメントが数多く寄せられている。 【写真】世界遺産「軍艦島」が崩壊危機~築100年以上の建物は壁が崩れ… このドラマは石炭産業で躍進した頃の長崎県・端島と、現代の東京が舞台。戦後の復興期から高度経済成長期の“何もないけど夢があり、活力に満ち溢れた時代”にあった家族の絆や人間模様、そして愛の物語を紡いでいく、まさに時代を超えたヒューマンラブエンターテインメントである。 「クランクアップに際して、今作で一人二役を演じた神木は『観てくださった方々の記憶に、そして歴史に残る名作だと思っています』と手応えを口にすれば、神木の父親役の國村隼(69)も『これまでの日本のドラマの中で、すべてのクオリティを全部飛び越している作品』と賛辞を惜しまない。日曜劇場に大きな爪痕を残したことは、紛れもない事実です」(制作会社プロデューサー) 最終回では、最大の謎だった神木演じる鉄平が朝子(杉咲花・27)との約束を違え、なぜあの夜、亡き兄・進平(斎藤工・43)の妻・リナ(池田エライザ・28)と一子、誠を連れて島を出た謎が明らかになり、その後の手に汗握る逃亡劇が、親友・賢将(清水尋也・25)との秘話とともにリアルに描かれている。 まさに圧巻の出来で、ここで終わってもよかったのだがーーまさかの展開が訪れる。 時が流れて2018年。神木が一人二役を演じる玲央が“いづみ”と名乗っていた朝子(宮本信子)を連れ、再び端島を訪れ、鉄平の終の棲家を突き止める。 ここで、“涙の再会”などあってはならない。そう思っていた矢先、8年前に鉄平が他界していたことが明らかになる。だが、ここにサプライズが周到に準備されていた。 「リビングのカーテンが開く。すると、かつて二人が植えようと約束していたコスモスが庭一面に咲き誇っている。しかも目の前の海から端島がはっきりと見える。この光景を目にして、いづみは思わず息をのむ。その時、彼女が見せた引き込まれるような眼差しが、まぶたの裏に焼き付いて離れません」(制作会社ディレクター) サプライズはさらに続く。 誰もいなくなってしまった端島の遠い記憶が、いづみの中で蘇りーー朝子の前に、コスモスの花を一輪持った若き日の鉄平が現れる。あの夜、姿を消したはずの鉄平が……。 鉄平「お待たせ」 朝子「待ちくたびれた」 この簡単なやり取りの中に、万感の思いがこもっていた。 照れ臭くて、朝子が思わず吹き出してしまった“第6話の告白シーン”を思い出したのは、私だけではあるまい。二人は半世紀の時を超え、想いを遂げたのだ。 ◆『アンナチュラル』『MIU404』のトリオが その表情があまりにもさりげなくて、なんとも切ない。7度目の共演となる二人だからこそ、生まれた名場面なのかもしれない。 「これまで金曜ドラマを主戦場に、『アンナチュラル』『MIU404』(いずれもTBS系)といった話題作を手掛けて来た(脚本)野木亜紀子×(プロデューサー)新井順子×(演出)塚原あゆ子という黄金トリオが、今回初めて日曜劇場に挑戦しました。『半沢直樹』『TOKYO MER~走る緊急救命室~』『VIVANT』など壮大なドラマを描いてきたTBSの看板番組でどんな作品を描くのか、業界内でも注目が集まっていました」(前出・プロデューサー) その舞台に選ばれたのが長崎県・端島。その話を聞いた時の衝撃を私は今も忘れない。 以前、通称“軍艦島”と言われるこの島を巡るツアーに私も参加したことがあった。日本初の鉄筋コンクリートの高層住宅30号棟。島内最大9階建ての65号棟。屋上農園で知られる「日給住宅」など日本の鉄筋集合住宅史上に燦然(さんぜん)と輝く、まるで“早過ぎた未来都市”を思わせるようなこの島に、私も魅せられたひとりである。 「本作が生まれるきっかけは、脚本家の野木さんと新井Pの長崎旅行から始まりました。軍艦島ツアーに参加して2人は心惹かれ、この島を舞台に世界に発信できる壮大な物語を日曜劇場でやってみたい。そう思うようになったと話しています。 端島の過去のストーリーに現代のパートを入れようと提案したのは塚原監督です。3人は何かの打ち上げを兼ねて、合宿しながらこの企画をまとめていきました。番組にも関わった“端島の伝道師”と呼ばれる黒沢永紀さんもスタジオを訪れた際、セットを見て『端島にしか見えなかった』と当時の衝撃を語っています。それほどリアルに当時の端島を再現して魅せたスタッフには、頭が下がるばかりです」(前出・プロデューサー) 昭和100年を来年に控えているが、端島の物語こそ昭和史そのもの。時を経て、この物語の記憶が日本人の血となり肉となり、やがて黒いダイヤモンドになっていく。 そんな思いにすらかられる今作。今年1月期の『不適切にもほどがある!』(TBS系)、今年前期の朝ドラ『虎に翼』(NHK)と共に、『海に眠るダイヤモンド』は、昭和の日本を語る上で欠かすことのできない作品になるに違いない――。 文:島 右近(放送作家・映像プロデューサー)
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