2025年度共通テスト出願者は7年ぶり増加 私立では新推薦入試で志願者増の東洋大に注目
2025年度の大学入学共通テスト(以下、共通テスト)の出願者数が公表された。51万5171人と7年ぶりに増加した。新課程入試で新科目「情報Ⅰ」などの負担増で「共通テスト離れ」が予想されていたが、国立大人気や有名私大の一般選抜で共通テスト科目を利用するケースが増えているからであろう。 【写真】悠仁さまのお立場を危うくしかねない“筑波のプーチン”の存在…14年間も国立大トップに君臨 国公立大でも総合型選抜や学校推薦型の年内入試が増加しているが、東京大のように学校推薦型選抜に共通テストを課す事例も多く、併願を考えれば一応共通テストは出願しておこう、という気持ちになっているようだ。 高等学校等卒業見込者(現役生)のうち共通テストの出願者の割合は45.5%で過去最高(対前年度比 0.3 ポイント増)となっている。旺文社の25年入試の動向予測では、一般選抜の志願者数の動きは国公立大が約1%増、私立大が約1%減となっている。国立大の人気は、今年度(24年度)の出願者確定数でも前年度より3726人増の36万2308人の増加となっていた。私立大は372万4570人で4万376人減となり対照的である。 ■志願者減を気にしない早稲田大、新推薦入試で志願者を集めた東洋大 早稲田大では、政治経済学部の21年入試一般選抜で共通テストの数学を必須にしたため、私大文系専願受験生が敬遠し志願者が激減した。25年入試でも、人気のある社会科学部と人間科学部の一般選抜の科目で共通テストを必須とした。両学部ともに志願者の減少は避けられないだろう。 しかし、大学当局は「早稲田でも一応受けるか」という記念受験組が減少するだけで、全体の合格者レベルは変わらないと考えているようだ。ただ選抜方法で、学部間の入試科目の相違が目立ち、早稲田大に多かった学内併願は減るであろう。 また、東洋大・大東文化大などで新規に実施した「学科試験重視、併願可」の推薦型・総合型(新推薦型)が注目されている。従来の推薦型は高校の学校長の推薦が条件で相互信頼の前提があるため専願が建前であり、学科試験は形だけの場合が多かった。一方、関西圏の中堅私大の推薦では併願可能というパターンは珍しくなかった。しかし2025年度入試から東京圏でも、「学科試験重視、併願可」が出てきたのだ。 年内に合格を確保した上で、さらに上位校の一般選抜に挑戦する受験生は多い。東洋大の新推薦型、全学部578人の募集に志願者約2万人、倍率35倍の人気となった。ワンランク上の「GMARCH」(学習院・明治・青山学院・立教・中央・法政)クラスの併願安全校として、滑り止め候補になったであろう。半面、日東駒専(日本・東洋・駒澤、専修)の各一般選抜の志願者減につながる可能性がある。 この東洋大学の推薦入学の学科試験日は12月1日で、「個別学力検査の試験期日は2月1日から3月25日まで」という「大学入学者選抜実施要項」に違反するという見方も出ており、大東文化大のケースも含め、文科省も問題視している。ただ前述の関西型の先例もあり、東洋大もひいてはいない。 ■医学部の地域枠など新設や定員増の動き 今まで国民総医療費の抑制の視点から医者を増やすな、という国の方針で医学部定員を抑制してきたが、近年、地域医療の現場で医師不足が顕在化しており、医学部定員増を認め、また医学部の地域枠を拡大することに方針を転換したようだ。地域枠とは、一定期間期間その地域の医療機関で勤務すれば貸与型奨学金が免除されるという制度である。 東北大学医学部も、国立大医学部のない岩手県と福島県を対象にした地域枠を設けるなど、積極的だ。群馬大学医学部も地域枠の人員を増やしている。 首都圏私大の医学部でも、地方の県で地域枠を実施しているケースが増えている。例えば、群馬県では新たに東京医科大、杏林大、帝京大などの医学部に地域枠を設けた。栃木県でも自治医科大のほかに独協医科大に地域枠を設けている。 国立大理工系学部入試の女子枠も増加し、地域枠を含め入試も多様化が進んでいる。その影響で、受験生のチャレンジ志向が強まっている。半面、経済的不安があり、「年内入試」で早く進学先を決めたいという安全志向も根強い。25年入試では、「受験生の二極化」が加速しそうだ。 (木村誠/教育ジャーナリスト) ◇ ◇ ◇ 筑波大への合格が明らかになった悠仁さまを巡る反響は? ●関連記事【もっと読む】悠仁さま筑波大進学で起こる“ロイヤルフィーバー”…自宅から1時間半も皇族初「東大卒」断念の納得感、【もっと読む】悠仁さま筑波大進学は“東大反対勢”を黙らせられるか「脱・学習院と異例推薦」に求められる宮内庁の説明…に詳しい。