不人気な中古外車BMW!!【磨きとペイントでどこまで仕上がる?】Vol.2
アルミ腐食や油汚れ、薄汚れも一気に洗浄できる
強烈な勢いで高温のお湯を噴射するのがスチーム洗浄。重曹由来のメディアはもちろん、油汚れもあっと言う間に洗浄してくれるのがバンザイ製の「ナイスホット」スチーム洗浄機。裸にしたK75Sは、アルミ鋳物のクランクケースやスイングアームやデフなどの部品汚れが目立つ。だからこそ「EZブラスト×スチーム洗浄」の組み合わせで、圧倒的な能力で汚れ落とししようと考えたのだ。この洗浄後にエアーブローして、さらに天日で完全乾燥後に通電すれば、トラブルは起こらないだろうと判断した(実際に電気トラブルはまったくありません)。 ────────── POINT バイクを美しく仕上げるポイント・可能な限り分解せずに、美しく仕上げたいと考えたとしても、外装部品と電装部品は取り外してクリーニングするのが理想的。配線の接続カプラーは、マスキングテープで保護してから、ビニール袋での2重保護を行うのが良い。重曹ブラスト後はスチーム洗浄でマジックパウダーを除去すれば完璧だが、お湯+パーツクリーナーガンの利用でも効果的な洗浄が可能だ。 ────────── 初年度登録は昭和62年。1987年にBMWジャパンが正規輸入販売したのが、どうやらこのK75Sのようだ。日本語版取扱説明書がシート下に入っているのを確認した。1985年当時、西ドイツのBMWは、主力モデルをボクサーツインから、水冷直列4気筒エンジンのK100シリーズへとバトンタッチしようと本気で考えていた。 ところが、世界中のボクサーツインファンやBMWモーターサイクルのディーラーから否定されてしまったらしい。結果的に、BMWのバイク部門が考えていた、その後のモデル戦略を変更せざるを得なかった……といったお話を、確かあの当時に聞いたことがあったように記憶している。ぼく自身、当時は自動車メーカーの生産技術開発の最前線で働いていて、新型のバイクにはあまり興味が無かったが(当時から1960~70年代のバイクに興味津々)、90年代には、すでに不人気車扱いされていたのがK100シリーズでもあった。そんなK100のRSやLT改を走らせる機会を得てから、同モデルの歴史を改めて振り返ったことを思い出す。何しろ個性的と言うか「個性の塊」それがKシリーズだった。 新しいバイクとして、抜きん出た個性を主張していたのもKシリーズだった。しかし、ボクサーツインを愛し続けてきたBMWファンにとって、メーカー自身が「ボクサー愛」を否定したかのような将来的な生産計画……ファンにしてみれば、青天の霹靂だったに違いない。昨今のBMWモーターサイクル・ラインナップを見ても理解できるが、当時の出来事が今尚影響しているのは明らかだろう。ぼく個人的には、ボクサーツインも個性的で楽しいが、似た感じの縦置きエンジンモデルで比べたなら、より一層、個性が強い70~80年代の空冷モトグッツィの方が、どちらかと言えば好みである。 さてさて、そんな経緯があって購入したK75Sだが、そのコンディションは決して悪くなく、走行距離は3万5000キロ程度で、まだまだナラシ段階!?のようなもの。ロングツーリングなど、走りに徹したBMWライダーにお話しを伺うと、この年式なら10万キロ以上走っていても「何ら不思議ではない」らしい。確かに、K100系2バルブの中古車を探していたときには、走行7~8万キロは少ない方で、時には15万キロ以上走っているK100も、珍しいものではなかった。個人的な印象としては、仮に、エンジンはタフで長持ちしても、車体関連部品がその走行距離に追い付くことができない……?だからこそ、足周り部品やその他の外装部品に目立ったダメージがある車両は避けたかった。後々の仕上げ作業が大変になるだろうと考えたからだ。足周りや外装部品に目立った転倒痕や欠品部品が無かったのが、このKナナゴーに決めた、最大の理由でもあった。 そういった意味でも、このK75Sは想像していた以上に程度が良かった。走行距離が少ないのはもちろん、各部詳細を覗き込んでも大きなダメージを受けているパーツは無かった。ただ、油汚れやアルミ部品の腐食(特にクランクケースや駆動系のアルミ鋳物部品など)が目立つので、そんな汚れ落としに最適な「EZブラスト」を利用させていただければ、と考えたのでした。EZブラストジャパンさん、助かりました~♪ マジックパウダーは重曹由来のメディアなので、作業後は普通にお湯を流し洗浄すれば「ガス化して消滅してしまう」特徴がある。さらに今回は、EZブラストを実践した3日後に、自動車鈑金業を営むバイク仲間の工房を訪ね、自動車ボディや足周り、床下をクリーニングするために使う、高温高圧のスチーム洗浄機「ナイスホット」をお借りして、EZブラスト後のKナナゴーを徹底的に洗浄させていただいた。さらに帰宅後、徹底的なエアーブローと炎天下の天日干しを数時間行った。今後しばらくは、この裸姿の作業が続くので、天気が良い日に頻繁に車体を干して、各部を徹底的に乾燥させようと思っている。
たぐちかつみ