旅行先のタイで保護施設のゾウに襲われ死亡したブランカ・オハングレン・ガルシアさん

（ＣＮＮ）　東南アジアのタイでこのほど、スペイン人の女性がゾウ１頭に襲われて死亡した。女性は同国南部ヤオヤイ島にある動物保護区域で、当該のゾウに水浴びをさせていた。地元警察が明らかにした。 写真特集：人間と野生生物の接触、世界各地で増加 ２２歳のこの女性は３日、ボーイフレンドと一緒にゾウの飼育センターでゾウ１頭を水浴びさせていた。すると「パニック状態」になったとみられるゾウが、牙で女性を突き刺したという。警察がＣＮＮの取材に明らかにした。 ゾウを水浴びさせるのはタイの動物保護区域を訪れた観光客に人気のアクティビティーとなっている。タイには野生のゾウと飼育されているゾウの両方が生息している。 女性はボーイフレンドとタイで人気の観光地、プーケット島に滞在し、日帰りでヤオヤイ島を訪れていた。警察幹部によると、飼育センターの所有者は３日、この事故を警察に通報。現在捜査が行われている。 ＣＮＮはゾウの飼育センターと在タイのスペイン大使館にコメントを求めている。 タイを代表する動物であるゾウは、この数十年で野生での個体数が減少。背景には観光や森林伐採、密猟、人間の活動範囲の拡大がもたらす脅威がある。 ２０世紀初頭には１０万頭を超えていたタイの野生のゾウは、現在３０００～４０００頭に減少したと専門家は推計する。 一方で飼育下にあるゾウの数は２０１０年から２０年にかけて増加。非営利組織の世界動物保護協会によれば、現在２８００頭前後のゾウが、タイ各地の観光地で飼育されているという。 同協会はかねて、観光業界によるゾウの搾取に異議を唱え、飼育下繁殖を止めるよう訴えている。また多くのゾウが孤立状態に置かれるなど、飼育環境にも警鐘を鳴らしている。 ２０年の報告書ではゾウについて、高度の知性を持つ動物で、複雑な思考や感情を抱く能力を有すると説明。「ゾウを管理するのは極めてリスクが高く、飼育される環境には不適合だということが浮き彫りになる。とりわけ人間と直接触れあう場面ではそうだ」と指摘していた。