最終戦を4位で締めくくった小椋藍選手「難しかった……」と表すMoto2の4シーズン【MotoGP第20戦ソリダリティGP】
ランクさんは、小椋選手がFIM CEVレプソルMoto3ジュニア世界選手権に参戦を始めた2017年から、8シーズンにわたり組んできたパートナーで、2人のメカニックは、ホンダ・チームアジア時代から共に仕事をしてきました。世界チャンピオンを獲得するために、2024年は彼らも小椋藍選手と共にMTヘルメット - MSIに移籍してきました。 小椋選手は2025年シーズンから、MotoGPクラスのトラックハウス・レーシングに所属します。クルーチーフも含めて、今季、ミゲール・オリベイラ選手を担当していたエンジニアやメカニックが、小椋選手を担当することになります。 ピットに戻って来てメカニックたちとハグを交わし、ヘルメットのシールドを上げた小椋選手は、笑顔でした。と言っても、レース後は4位に終わった悔しさでいっぱいだったのだそうです。 「レース直後はものすごく悔しかったんですけど、(チームが)あんな感じで迎え入れてくれたので、そこで“あ、そうだ。チームのためのレースでもあったんだな”って」 「良いシーズンだったな」などと声をかけられる中、ランクさんだけは少し違ったそうで、「ノーマンは僕に似ているところがあるので、今日のレースの話しかしなかったですね」と言うのです。
長く共に戦ったパートナーとの別れに、涙がポロリ……かと思いきや、「ないです、ないです!」と、小椋選手は笑って否定しました。「全く会えなくなるわけじゃないから」と。 しかし小椋選手にとって、ランクさんが特別な存在であることは確かです。それは世界チャンピオンを獲るために、ランクさんと共に移籍することを望んだことからも窺えます。 ライダーにとって、クルーチーフとはとても大きな存在です。ライダーを支え、落ち着かせ、理解し、時には共に成長する。二人三脚で歩む存在なのです。いくらパドックで会えるとはいえ、もうピットで隣にはいません。それは小椋選手にとって、大きいのではないでしょうか? そう尋ねると、「もちろん、いないのは寂しいです。来年もその可能性があるなら、僕は彼を選びましたけど、そうではなかった。残念ですけど、そういうものですから」と答えます。そして、こう続けたのです。 「……なんとなく、たぶん……、いつかまた一緒にやるんじゃないかと。なんとなく彼もそう感じていて、僕もそうしたいなと思っています。それができれば、一番良いかな、と思います」 もちろん、未来のことは誰にもわかりません。けれど、もし「それ」が実現したら……。ひとつ楽しみな未来図が増えることになりました。