【中国】10月の住宅販売7.1%増、今年初の増加
中国の住宅販売は10月、今年に入って初めて前年同月比で増加した。中国不動産情報サービスの克而瑞研究中心(CRIC)によると、不動産主要100社の2024年10月の住宅販売額は前年同月比7.1%増の4,354億9,000万元(約9兆3,200億円)だった。前月比でも73%増加。中国政府の不動産支援策の効果が大都市の取引を中心に表れた。 中国政府は9月下旬、住宅ローン金利を引き下げることや住宅ローンを利用する際の最低頭金比率を15%に下げることなどを発表。「1級都市」と呼ばれる沿海部4大都市は9月末、住宅の購入制限を緩和または撤廃した。 こうした刺激策の効果が1級都市の取引を押し上げた。比較対象となる前年の数値の低さも影響したと考えられる。 1級都市の住宅成約数は前月から45%増え、前年同月比でも9%増加した。 1~10月の累計販売額は前年同期比32.7%減の3兆693億1,000万元で、1~9月の36.6%減から下げ幅を縮めた。 中国の不動産市場では国慶節(建国記念日)などの連休が重なる9~10月は「金九銀十」と呼ばれ、販売が集中する時期とされる。9月は第3四半期(7~9月)末に当たり、不動産各社が販促を強化することから、例年は9月の販売が10月よりも伸びる傾向にある。 ただ今年は政策効果で10月の販売が9月を上回り、中国建設報(電子版)によると、中国住宅都市農村建設省(住建省)は、「07年以降では初めてのことだ」と指摘した。 ■当局集計でもプラスに 住建省がまとめた住宅取引契約をオンラインで当局に届け出る「網簽」のデータにも、住宅取引の回復が表れた。 10月の全国の新築住宅契約数は前年同月比0.9%増え、15カ月続いた契約減少に歯止めがかかった。前月からも6.7%増えた。 中古住宅の契約は前年同月比8.9%増え、7カ月連続のプラス。新築・中古を合わせた契約数は3.9%増加し、9カ月ぶりにプラスとなった。 1級都市の増加が目立ち、新築契約数は14.1%増。中古住宅の契約数は47.3%増とより活発だった。 都市別で見ると、広東省広州市、深セン市、東莞市、江蘇省南京市、浙江省寧波市、遼寧省大連市では新築住宅の取引契約がいずれも3割以上増加。北京市、上海市、深セン市、浙江省杭州市では中古住宅取引が5割以上増えた。 地方で住宅購入制限を撤廃したり調整したりする動きが広がったのに加え、国慶節の連休期間に合わせて不動産会社が各地で4,000回を超えるイベントを開くなど販促を強化したのも販売を後押しした。 ただ、政策効果は長くは続かないとの見方もある。 CRICは、「11月には政策効果が薄れ、季節的な要因も重なって市場の回復の勢いは若干弱まる」との見方を示した。大都市の10月の新築住宅取引は後半にかけて減少しており、効果は既に縮小傾向が見られると指摘した。