ジェンダーギャップ指数15年連続1位のアイスランドとG7最下位の日本との「明らかな差」
この数年、「ジェンダー後進国日本」という原稿を書き続けている。世界経済フォーラムが発表するグローバルジェンダーギャップ指数、6月12日に発表された2024年のランキングでは、日本は146ヵ国中118 位。2023年の125位より前進したが、主要7ヵ国(G7)では87位のイタリアを大きく下回る最下位のままだ。 【写真】「女性の休日」デモに参加したアイスランドの首相、当時のメルケル首相と 対照的に15年連続で首位をキープし続けているのが北欧の小国アイスランドだ。 人口約39万人と日本でいうと地方都市規模の国。北欧の国々は押し並べてジェンダー平等が進んでいるとはいえ、なぜこの国でここまで男女平等が徹底されているのか。歴史的な経緯や平等に向けた取り組みを取材するために5月、アイスランドの現地でジェンダー平等に取り組む関係者に取材した。
「1位は偶然ではない」
アイスランドを訪れたのは5月下旬。飛行機を乗り継いだフィンランドのヘルシンキは気温も20度を超えた初夏の陽気だったのに、アイスランドはいきなり2度。5月でも厚手のダウンや手袋が欠かせない寒さだった。 それだけ厳しい気候にもかかわらず、この国の幸福度は高い。毎年発表される世界幸福度ランキング(世界幸福度調査に基づく)では、アイスランドは3位(2023年)だ。国民の平均年収は約720万円で、北欧諸国では2番目(ちなみに日本は458万円/2022年)。人口約39万人、国土は四国と北海道を合わせたほどという小国でありながら、経済的な豊かさと幸福度を両立させている重要な要素が、世界で最も男女格差がない、男女平等であることではないかーーそんな仮説を持って取材を進めた。 最初に取材したのは、首相官邸の平等人権省。首都レイキャビック市の中心にある首相官邸は小さな家のような白い建物だった。専門官のグズヨン・ビョルン・グズビャルトソンさんは開口1番、こう話した。 「(ジェンダーギャップランキングで)1位は決して偶然ではないのです」 この言葉の意味は取材を進めるほど腹落ちした。全体の取材を通して感じたのは、15年連続で1位となろうとも、「まだ完全な男女平等状態ではない」と法制度やその運用をアップデートし続け、完全な平等実現のために改善を怠らない、その執念と覚悟だ。1位の国がこれほどまでに努力をしているのだから、日本が少しばかり努力をしてもその差は開くばかりなのは自明だ。平等は自然には実現できないということを強く感じた。