【MIKOLAS インタビュー】信じられないぐらいクレイジーなことが起こったと思う
Spotifyのバイラルチャートで「Lalalalalalalalalala」(2020年発表のシングル)がバズり、日本で人気爆発中のMIKOLASの旧譜4曲が再リリースされた。チェコ共和国プラハ生まれで、チェコとスロバキアではもっともストリーミング再生されているアーティストである彼の音楽が、なぜ来日したこともない日本でヒットしているのか? その現象についてミコラスはどのようにとらえているのか? という話を訊くべく、本人を直撃した! MIKOLAS インタビューのその他の写真
いろんなジャンルの音楽を取り込むことを意識した
──まずは日本のファンのみなさんに自己紹介をお願いします。 ミコラスです。「Lalalalalalalalalala」を歌っているアーティストです。まずはこの曲を聴いてくださって、さらにチャートの上位にまで送り込んでいただいてありがとうございます。みなさんが送ってくれるメッセージも感謝しています。早く日本に行ってライヴをしたいです。 ──チェコから遠く離れた日本でこの曲がバズったことについて、ご自身ではどう分析していますか? 自分でも説明ができないですね。だけど、数字を見ていると僕の音楽を聴いてくれている都市の1位が東京、2位が大阪と日本の都市なんですよ。3位でようやく自国が入るんです。僕自身はチェコのモラヴィアという地方都市出身者なので、日本には一度も行ったことはないんですね。アーティストとしてはこれまで8年間のキャリアを積んできているのですが、信じられないぐらいクレイジーなことが起こったと思っています。どうしてバズったのかは分からないのですが、感謝の気持ちでいっぱいです。 ──Instagramでは“ありがとう”という日本語を添えて、この曲を踊る日本人ダンサーたちの動画をいろいろとピックアップして紹介してくれていましたね。 はい。なぜこの曲が日本で支持されたのか、そのきっかけを自分なりに探ろうと思って調べていたら、どうやらテレビやラジオから火がついたのではなく、ダンススタジオでダンスの練習曲としてこの曲が使われているというのが分かったんです。そこから口コミでどんどんと曲が広まったのではないかと思ったので、日本のダンサーたちに僕自身の感謝の気持ちを込めて動画を投稿しました。 ──自分の曲がバズる前と後で、日本に対する印象も変わりましたか? 変わっていないですね。というのは、僕の周りには日本に行ったことがある人が結構いて、彼らから日本の話は聞いていたんです。日本とチェコでは文化的に違いがある。例えば、日本人は相手をリスペクトするという丁寧さの印として、何かを相手に手渡す時は片手ではなく両手で渡すというのを彼らから聞いた時は“ふ~ん”と思ったぐらいでしたし、あまり想像できなかったんですよね。でも、曲がヒットしたおかげで僕のところには日本からメッセージがたくさん届くようになりました。それを見ていると、本当にどれも丁重で相手をリスペクトしている感じが伝わってきて。“彼らが言っていたことはこういうことか!”とそこでリアルに実感しました。実際に体験しないと分からないこともありますから。 ──確かに体験しないと分からないことはありますね。日本の音楽を聴いたことはありますか? ちゃんみなやAwich、そして、LANAはYouTubeで見つけて気になっています。ライヴでいろいろな国を訪れた時は必ず現地の音楽シーンをチェックしているので、日本に行ったら日本の音楽シーン、アーティストにもっと触れてみたいですね。 ──ちなみに、来日したら行きたい場所はありますか? まず、東京と大阪、京都は絶対です。特に京都は素晴らしい雰囲気の場所だと聞いているので、マストで行きたいです。福岡や札幌、名古屋にも行きたいですし、日本の山も見てみたいです。でも、何よりも僕は日本の食べ物に興味がありますね。ヨーロッパで仕事をしている時は、僕の大好きな日本食レストランがあって、そこへ昼食か夜食を食べに毎日通っています。でも、友達は“ヨーロッパにある日本食は本場のものとは全然違う”と言うので、本物の日本食を味わって、みんなが言っていたことが本当かどうかを自分の舌で確かめてみたいんですよね。 ──日本食の中でも特に食べたいものは? 僕はラーメンのビッグファンなのでラーメンかな?(笑) お寿司も好きなんですけど、これこそヨーロッパで食べているものとは違うようですね。日本に行ってお寿司を食べたことがある人は“もうヨーロッパのお寿司は食べられない!”と言っているし、それも本当にそうなのか自分の舌で確かめたいです。あと、日本も都市ごとにご当地グルメがあると聞いたので、それも試してみたいです。 ──ぜひ、来日を楽しみにしています! ミコラスさんは幼い頃からギターを習い、ロンドンの音楽アカデミーに留学して本格的に音楽の勉強をされたそうですね。自分にもっとも影響を与えたミュージシャンを挙げるとしたら? うわぁ~、今日イチで難しい質問だ(苦笑)。その時々で自分の中のブームになっている音楽、アーティストがあるので答えるのが難しいのですが…その中で、ひとつだけ挙げるとしたらQUEENかな? ──QUEENのどんなところに影響を受けたのですか? 子供の頃から聴いていたのがQUEENなんです。彼らはひとつのジャンルにとらわれていない。むしろ、それは音楽的に豊かなことだと思うんです。そこがもっとも自分は共感できるところですね。だから、僕自身はひとつのアルバムでいろんなジャンルの音楽を取り込むことを意識しています。ロックやクラブミュージックがあったかと思えば、どバラードもあったりすることはまったく怖くないんです。 ──ジャンルにとらわれない音楽をやるミコラスさんはシンガーソングライターでありながら、ギターやピアノで弾き語りはもちろん、ダンスも踊れて、音楽や映像プロデュースもできてしまうというマルチアーティストですが、ご自身の一番の武器はどこだと思っていますか? ありがとうございます! 僕のことをそんなふうに言っていただいて(笑顔)。マルチという意味では、プリンスなんかは全ての楽器を完璧に弾きこなしているじゃないですか。僕はまだその途中段階なので、いつかは彼のようになれたらと思っています。そして、一番の武器ということですが、あるとしたら自分の作品においてやることなすこと全てに対して、僕はそのプロセスにかかわっていることですね。写真やダンス、MVでも必ずそこに自分らしさが残せていると思います。それによってどの作品、どのクリエイティブにも統一感が出せているので、そこですかね。 ──そうやって、さまざまなクリエイティブのプロセスに自分が積極的にかかわるようになったきっかけは? 性格的に仕切りたがり屋だからだと思います。だから、基本的に自分にかかわるものは全部自分でやりたい。“そんなことまでやりたくないよ”と思うミュージシャンもいると思うんですけど、僕はそれを喜びとしてやっているんですよね。本当はもっと細部までいろんなことを自分でやりたいので、今は自分のクローンが欲しいです(笑)。