「カネの流れが止まらない…」コロナ禍でも「中国資本家」がニセコで荒稼ぎを続ける「3つの理由」
今や世界中から富裕層がこぞって訪れる冬の高級リゾート地となった北海道ニセコ。どうやってニセコはインバウンドをものにしたのか。海外の富裕層を取り込む外国資本の戦略、日本の観光に足りていないものとは何なのか。ニセコの成功の背景を、リゾート地・富裕層ビジネス・不動産投資の知見をもつ筆者が、これらの謎をひも解く。 【写真】習近平の第一夫人「彭麗媛」(ポン・リーユアン)の美貌とファッション *『なぜニセコだけが世界リゾートになったのか』(高橋克英著)より抜粋してお届けする。 『なぜニセコだけが世界リゾートになったのか』連載第9回 『2030年に「世界一のユートピア」に⁉「日本の最先端」ニセコの輝かしい近未来』より続く
ニセコの強さ「3つの理由」
なぜ、ニセコだけコロナ禍下でも不動産投資が継続しているのだろうか。 その理由には、(1)外資系大手や公共事業の計画、(2)世界的な金融緩和、(3)海外富裕層とホテルコンドミニアムの存在、の3つが挙げられる。 1つ目の、外資系大手や公共事業の計画は、前述のようにリッツ・カールトンが開業し、アマンなどの建設が進んでいるが、これら最高級ホテル建設は、香港の大手通信企業PCCWグループやマレーシアの大手財閥系企業YTLグループなどによる大規模なリゾート計画の一環として行われている。 こうした外資系大手による開発や建設、そして公共事業が、コロナ禍下でも継続していることが、地元や中小の事業者なども安心して中長期的視点で営業や投資活動を行えることにつながっている。
世界的な金融緩和の影響
2つ目は、世界的な金融緩和だ。 コロナショックにより、日本だけでなく米国、欧州の政府と中央銀行により、史上最大規模の金融緩和策と財政出動策がとられている。コロナ禍から「雇用と事業と生活」を守るためには、あらゆる手段を尽くすとの意思表示だ。 この結果、今まで以上に不動産や株式にカネが流れることになり、実際、コロナ禍下で実体経済が苦戦するにもかかわらず、日米の株式市場は堅調であり、日経平均株価は29年ぶりに最高値を更新し、ニューヨーク・ダウ平均株価も史上最高値を更新している。 3つ目は、海外富裕層とホテルコンドミニアムの存在だ。金融緩和の恩恵を最も受けるのは、すでに資産・資金を十分に持ち、その資産・資金を元手に投資や開発を行うことができる国内外の事業者や富裕層となる。 ニセコの場合、その投資対象となるのが高級コンドミニアム(ホテルコンドミニアム)であり、過去5年間で10倍以上に跳ね上がった不動産も多い。