「1杯200円~5万円まで」広がるコーヒーの世界 アジア最大のコーヒー見本市で見た驚きの商品
「実店舗がある信頼性もあって、2021年から販売するこの商品も関心が高いです。コーヒーにこういう入口があるのも知っていただきたいですね」(九蘭氏) ■1杯どりカップオンは1個5万円の品も 毎年、同展示会やバリスタ競技会で存在感を発揮するのが「サザコーヒー」(本社:茨城県ひたちなか市)だ。「パナマゲイシャ」(パナマ産のゲイシャ品種)を日本に広めた会社であり、今回もさまざまなカップオン(1杯どり)や焙煎豆が展示されていた。
「ゲイシャはフルーティーな味わいが人気の高級品種で、当社社長の鈴木太郎が2009年からパナマで1番のゲイシャを決めるコーヒーオークションで1位の豆を落札してきました。近年はブランドとして浸透したのを感じます」(商品管理部課長の川﨑敦史氏) 例えば「ゲイシャハンター」(1杯どり1個520円)はパナマ・コロンビア・エチオピアのブレンド豆。「パナマゲイシャ エスメラルダ」(同750円)は同国の人気農園であるエスメラルダ農園産で競合店も取り扱う品。1万円を超える「ベスト オブ パナマ」の商品はコーヒーオークションで落札された豆を焙煎した限定品だ。
一方で手頃な価格帯もある。看板商品の深煎り「将軍珈琲」のカップオンは200円台だ。 「コーヒーの世界はワインの世界に似ている」と話す関係者は多い。さまざまな意味合いが込められているが、商品の価格帯が幅広く、その時の気分や予算に応じて楽しめるのもあるだろう。 コーヒー器具で目を引いたのが、玉川堂(ぎょくせんどう/本社:新潟県燕市)のコーヒーポットとドリッパーだ。1816年創業の老舗で“鎚起銅器”(ついきどうき)製作を行う。やかんや急須などを製造してきたがコーヒー関連にも進出した。
鎚起銅器とは、鎚(つち)で打ち起こし、銅板から作る立体製品のことで、燕市の伝統技術だ。完成品まで時間を要し、職人による手作りなので価格も高い。コーヒーポットは20万円台が多く、コーヒードリッパーは4万5000円+税となっていた。上質なコーヒータイムに映える商品だ。 「お茶もコーヒーも手淹れする文化を持つ中華圏や日本の方が買われます。顧客層は中華圏の方が約5割、GINZA SIX(東京都中央区銀座)の直営店では同7割になっています」