能登半島地震では地上波テレビとラジオが3週間「停波」 情報源確保へ放送局模索
■「生字幕」体制を強化
大規模災害が起きた際のテレビの緊急放送を巡り、国は聴覚障害のある人にも情報が伝わるよう字幕をつけることを要請している。放送各局は、ニュースなどの生放送の番組に「生字幕」をつける体制を整えつつ、災害時への備えを進めている。
災害時をにらみ、NHKは平成29年度に字幕制作のスタッフを増員。民放各局も体制を強化し、生字幕制作を外部に委託していた関西テレビは、「災害時には他局と委託先の取り合いになる」と27年からは関連会社での制作も始めた。
スタッフがスタジオの音声をキーボードに打ち込む方法が主流だが、終日かつ連日に及ぶ緊急放送に対応するには、人材の確保が課題となる。近年は、少ない人員で対応できる音声ソフトの活用も進められており、総務省は令和2年度から、生字幕のための新たな設備投資に最大で2分の1を助成している。(藤井沙織)
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■字幕放送に関する総務省の指針 聴覚障害者がテレビを利用しやすいよう平成9年に実施目標を設定し、約5年ごとに改定。NHK、在京キー局、在阪準キー局に対しては未明から早朝の時間帯と、技術的に生字幕が付けられない番組などを除く全番組での実施を促す。民放各局は令和元年度、NHK(総合)は3年度にそれぞれ目標を達成。平成23年の東日本大震災を受け、大規模災害時には時間帯を問わず、できるだけ速やかに字幕放送を行うよう求めている。