丸亀製麺CMが“ヌーハラ”で炎上? 「すする音」はいつから批判されるようになったのか…「永谷園のお茶づけCM」はファンが多いのに、なぜ?
お作法やマナーは文化によって違うし、グローバル化が進んでいるからといって、無理に標準化する必要もないのではないか。 「郷に入っては郷に従え」で、パスタを食べる際にはフォークで巻いて食べるように気を付けるべきだと思うが、日本で和食の麺類を食べるときは、音を立ててすすってもよいだろう。 CMの話題に戻ると、味の素の「クックドゥ」のCMシリーズは、おいしそうな食事のシーンが出てくるが、過去に何度も批判を浴びている。食べる音だけでなく、他の批判を受けることもある。
たとえば、2011年のCM。家族で麻婆茄子を食べている際に、子役の杉咲花さんの手元にあるケータイの着信音が鳴る。杉咲さんがそれをちょっと確認して音を止め、食事を続けるシーンがあった。 これは、ケータイに出るよりも食べることを優先するくらい美味しい、というシーンだが、「食事中にケータイをいじるのはいかがなものか」という批判が出ていた。 中国の大学で講演をした際に、この話をしたのだが、学生は「(食事中にケータイをいじることが)なぜ批判されるのか理解できない」という反応をしていた。
■「いただきます」の省略が批判材料に 2018年に竹内涼真さんがお兄さん役を務めたCMでは、「待て待て待て、いただきますしてから!」という竹内さんの言葉に対し、子どもたちが「省略」「同じく省略」と言って食事をするシーンが批判を浴びた。 批判を受けてか、このCMは、子どもたちが「いただきます」と言ってから食べる表現に修正されている。 食べる前に「いただきます」というのは素晴らしい日本文化であるし、味の素が表現を修正したのも妥当な判断であったと思う一方で、「そこまで批判する必要があったのだろうか?」とも思う。
多くの人が目にする広告は、表現に細心の配慮をすることは必要だが、ご飯くらいもう少し自由に食べられないものか――と疑問に思わざるをえない。 【写真を見る】上戸彩さんが美味しそうに「音を立てて麺をすすった」“炎上”シーン(7枚)
西山 守 : マーケティングコンサルタント、桜美林大学ビジネスマネジメント学群准教授