丸亀製麺CMが“ヌーハラ”で炎上? 「すする音」はいつから批判されるようになったのか…「永谷園のお茶づけCM」はファンが多いのに、なぜ?
丸亀製麺のCMが2016年以前に放映されていたら、問題にはされなかっただろう。永谷園「ただいまお茶づけ中」のCMがリバイバル放映されたのと同じ2022年だったとしても、物議を醸すことはなかったのではないかと思う。 3点目についてだが、近年「性別による役割分担」は批判されやすくなっているし、性別の境界線自体が曖昧になっている。広告表現においても「男性らしさ」「女性らしさ」のステレオタイプは避けるようになってきている。
一方で、視聴者の潜在意識は容易には変わらないところもある。あからさまには言われていないが、「若い女性が音を立ててうどんを食べている」と違和感を抱いた人もいるのではないだろうか? 例えば、上戸彩さんが運動系部活の男子高校生に入れ替わったとしたら、同じような批判を集めただろうか。 今回の件を見ていて思い出したのが、1985年に公開された伊丹十三監督の『タンポポ』という映画だ。本作は「食」をテーマにした、異色映画だが、この作品の中に、レストランでのマナー講座のシーンがある。
講師が音を立てずパスタを食べる方法を伝授しているが、その横では外国人が音を立ててパスタを食べている。それに影響されて、全員が音を立ててすすり出す。このシーンは、形式にとらわれがちな日本人、外国人に同調しやすい日本人を風刺したものだ。 しかしながら、「パスタはフォークで巻いて、すすらずに音を立てないで食べる」というのがマナーであり、一般的でもある。なお、日本ではスプーンを添えてパスタを巻くのは一般的だが、海外ではそうではないようだ。
一方で、日本では、そばやうどんを音を立てながらすすって食べることはマナー違反ではなかった。落語を見ていると、大きな音を立てて麺類を食べるしぐさをするシーンはよく出てくる。 ■何度も批判された「クックドゥ」のCM 筆者が日本茶の広告の仕事をしていたときに、勉強も兼ねて茶道教室に通っていたことがある。そこで、「最後の一口は音を立てて吸い切るように」と教えられて、驚いた記憶がある。「おいしくいただきました」という合図の意味があるとのことだが、「音を立てて飲むのがお作法」というのは、違和感があった。