世界の航空機、平均使用年数は「14.8年」 サプライチェーンの問題で進む老朽化
航空業界を悩ませている深刻なサプライチェーン(供給網)の問題が響き、世界の航空会社が運用する機材は老朽化が進んでいる。だが、米コロラド州デンバーを拠点とするフロンティア航空はこの流れに逆らい、世界で最も使用年数の浅い機材を運航している。 スイス・ジュネーブに本部を置く国際航空運送協会(IATA)はこのほど発表した2025年の業界見通しの中で、世界の航空機の平均使用年数は過去最高の14.8年で、1990~2024年の平均13.6年から大幅に上昇したと指摘している。 世界の航空会社340社が加盟する業界団体のIATAによると、機体の「高齢化」は航空機やエンジンのメーカーなどを含むサプライチェーンの混乱を反映したものだという。「航空機の納入は最も多かった2018年の1813機から急激に減少している」とIATAは指摘。「2024年の納入は1254機となる見込みで、以前の予測を3割下回っている」という。 2025年の納入は1802機に増えると予測されているが、以前見込んでいた2293機を大幅に下回る。下方修正も「十分にあり得る」とIATAはみている。一方、受注残は過去最多の1万7000機に達している。現在の納入ペースではすべて納入するには14年かかる計算になるが、ゆくゆくは短縮される見込みだ。 こうした傾向にもかかわらず、一部の航空会社は使用年数の浅い航空機を運用し続けている。 フロンティア航空の機体の平均機齢は約4.6年と、世界で最も「若い」ようだ。 同航空の先月のプレスリリースには「業界で最も使用年数の短い航空機を運用し、米国最多のエアバスA320neoシリーズにこれまで以上に燃費効率のいい技術を導入することで、二酸化炭素(CO2)排出量を大幅に削減するのと同時に運賃の抑制を実現している」とある。 今年、米ボーイングの納入時期は大幅に遅れているが、フロンティア航空のバリー・ビッフル最高経営責任者(CEO)はフォーブスのインタビューで、同社の運用機体はすべてエアバス製だと説明。「当社は運がいい」とビッフルは語った。 スイスの航空情報会社ch-aviationによると、フロンティア航空が運用する157機の平均機齢は4.67年だという。同社は米国の航空会社の機齢データを公開しており、フロンティア航空の使用年数が最も短かかった。