2つの阻止線を突破も警護員200人に阻まれ…尹大統領の逮捕状、執行中止
逮捕状執行、5時間30分後に中止
高位公職者犯罪捜査処(公捜処)は3日、内乱首魁(しゅかい)容疑がかけられている尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の逮捕状の執行を試みたが、それを阻止する大統領警護処と5時間半にわたって対峙(たいじ)した末、手ぶらで撤収した。公捜処は執行中止を告げつつ「現場の人員の安全が懸念される」と述べた。執行過程で警護処と少なからぬ衝突が発生したとみられる。 内乱首魁の容疑がかけられている尹大統領の調査にあたっているイ・デファン部長検事ら公捜処の20人あまりの捜査チームはこの日午前6時14分、車で京畿道果川市(クァチョンシ)の政府果川庁舎を出発。先月31日の裁判所による尹大統領の逮捕・捜索令状の発行から3日後のことだ。 捜査チームの車は7時19分、ソウル龍山区漢南洞(ヨンサング・ハンナムドン)の大統領官邸のもっとも外側の入口に到着した。車での立ち入りが許可されなかった公捜処の捜査チームは、この入口で車を降りて約40分間待機したが、8時2分に門を塞いでいたバリケードが開かれ、徒歩での立ち入りに成功した。この時、公捜処は報道機関に対する公示で「尹大統領に対する逮捕状執行を開始した」と発表した。 官邸までは、最初の入口からさらに500メートルあまり入っていかなければならないという。公捜処の捜査チームは最初の入口を通過してから間もなく、道を塞いでいる警護処のバスに出くわした(第1阻止線)。軍部隊の人員を含め、警護処の職員が50人あまりいたという。40~50分間にわたって対峙した末、警護処次長が出てきて「警護法にもとづいて警護しているだけだ。逮捕状は判断が困難」との趣旨を公捜処の捜査チームに伝えた。しかし捜査チームは「執行しなければならない」と伝えて第1阻止線を通過した。 通過後も、警護処は軍用車両とバス10台あまりなどを出動させて道を塞いでいた(第2阻止線)。とうてい突破できず、捜査チームは横の山道を迂回(うかい)して進入を試みた。こうして第2阻止線もどうにか通過した。 官邸まで150メートルほどに迫ったところで、公捜処の捜査チームはまたしても200人あまりの警護処職員と出くわした。公捜処は「警護処の200人あまりの職員が腕を組んで立ちはだかった」と説明した。公捜処の説明によると、この日の尹大統領の令状執行には「警察人員80人あまり、公捜処捜査チーム20人あまりの計100人あまりが投入された」。警護処の人員が公捜処の2倍以上いたこと、狭い道に数百人が密集していたことで、事故が懸念される状況だった。結局、公捜処の3人の捜査検事のみが官邸にさらに若干迫り、そこで尹大統領側の弁護人たちと会った。公捜処はこの時の状況について、「選任届を出していないため弁護人とは言い難いが、弁護人たちは捜査権のない機関が発行した令状には応じられないという趣旨の反応を示した」、「弁護人は『早急に選任届を出すつもりだ。今後の手続きを協議するのはどうか』という趣旨の話をした。それ以上奥には入れなかった」と説明した。結局、公捜処は最終目的地である官邸には入れず、引き返さなければならなかった。 公捜処は、多くの関門を通過する過程で「大小の小競り合いがあった」と語った。公捜処は、これら警護員の中には個人火器を所持している者がいたと語った。そのため公捜処は「非常に多くの人員が狭い場所に集まっていたため、負傷者が出る恐れがあった」とし、それ以上奥に入ることは難しいと判断し、執行中止を決定した。午後1時30分ごろだった。官邸の最初の入口を入ってから約5時間30分後、逮捕状の執行は中止された。 クァク・チンサン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )