RB、“攻め”のマシン開発で一歩後退も「問題ない」とチーム代表。次回アップデートはサマーブレイク明けに
RBは直近の大型アップデートがチームの思惑通りに機能せず苦戦を強いられたものの、チーム代表を務めるローレン・メキーズは、後退も「問題ない」と考えているようだ。 【動画】ブラピ主演映画『F1』公式ティザー映像 スペインGPでRBは新しいエンジンカバーやサイドポンツーン、フロアなどを今季マシンVCARB01に投入したものの、そのレースではダニエル・リカルドが15位、角田裕毅が19位と下位に沈んだ。シーズン序盤は中団グループ上位で入賞を争っていただけに、失速は顕著だった。 そこでチームは翌オーストリアGPのフリー走行で異なるパッケージで比較テストを実施。旧型と新型を組み合わせたハイブリッドパッケージでリカルドが9位入賞を掴み、続くイギリスGPでも角田が10位入賞と一定の改善を見せた。 ただメキーズ代表は、サマーブレイクまでハンガリーGPとベルギーGPの2連戦を残すという段階で、アップデートがなぜ機能しなかったのかという点について100%の理解が得られた訳ではないという。 直近のライバルであるハースはイギリスGPで投入した新パッケージが機能したこともあり、この2戦で一挙10ポイントを獲得。コンストラクターズランキング6番手のRBに4ポイント差まで詰め寄った。 一見すると、スペインGPでの大型アップデート失敗はRBにとっての後退だ。しかしメキーズ代表は長い目で見るとポジティブな点も多いと説明した。 「我々にとっては、(イギリスGPは)全体的にポジティブな決勝日だった。初日の状況を思い起こせば、ここではかなり難しい週末になると予想していた」とメキーズ代表は言う。 「大きな視点で見ると、我々はバルセロナで新しいアップデートを行なったが、その全てとは言わないが、そのほとんどを元に戻さなければならず、パフォーマンスの損失が避けられなかった」 「我々はカナダやモナコの時よりもパフォーマンスを向上させることを期待していたが、その代わりに後退せざるを得なかった。もちろん一歩後退だが、必要な後退だった」 「我々はシーズン当初から非常にアグレッシブなマシン開発を行なってきた。だからここまで前進できた。速く走るためには、時に後退も受け入れる必要がある」 「これはチームとしてより良い土台を築き、より良いツール、より良いプロセスを構築し、根本的に開発力を高めていくためのモノだ」 「我々は一歩下がったが、問題ない。ここ2戦は中団争いで上位に食い込むことはできなかったが、それでもここ2戦でポイントを獲得した」 またメキーズ代表は、次回のアップデートがサマーブレイク明けになると説明した。 「我々はすぐに次のアップデートができるように全力を尽くしている」とメキーズ代表は続ける。 「明日の朝には無理だろう。おそらく3~5レースは我慢しなければならないだろう。ハースがどれほどのパフォーマンスを続けているかを見てきただけに、痛いかもしれない」 「しかし繰り返しになるが、これもゲームの一部だし、我々は今後反撃していく」 メキーズ代表はアップデートが機能しなかった理由について100%理解した訳ではなく、チームは“現在進行中”で学習していることだと明かし、こう語った。 「時間がかかるだろう。それはこのチームの成長の一部であり、このチームが中団グループのトップで戦うために必要なことだ」 「我々は中団のトップにいたのか? 答えはノーだ。しかし今、挫折を味わって、やるべきステップを踏むためにさらなる努力をすることは我々の旅路において必ずしも悪いことではないと思う」 そしてメキーズ代表は、サマーブレイク後のアップデートまでチームが現在のモノからパフォーマンスを引き出すことに専念するとした上で、その間も勢力図が変動を続ける中団グループ争いの中で、RBが抜きん出る可能性はあると語った。 「我々の場合、アップデートが上手くいかなかった時に『よし、次はいつだ?』というだけでなく、まずそのレースで何が問題だったのかを理解しなければならない」 「二重のマイナス効果がある。つまり、望んでいたアドバンテージを得られなかっただけでなく、何が起こっているのかを理解するまでは次のアップデートを遅らせなければならないのだ」 「レース週末ごとに、順位に関係なく中団にいるチーム間の成績に波があるのはそれが理由だ。つまり、他よりも良いレースができることがあるということだ。アルピーヌが上がったり下がったりしているし、我々も上がったり下がったりしている」 「それ(アップデート)を待っている間、(現場の)チームはマシンからより多くのモノを引き出す方法を探っている。まだ完全には満足できていないバランス特性もあるし、まだまだタイムを稼げると確信している」
滑川 寛, Filip Cleeren