中森明菜、山口百恵、宇多田ヒカル…家入レオが惹かれた「あどけなさの中にある、成熟した精神」
悩んだことが今、全部糧になっている
17歳でデビューした家入は、20代後半から30代が陥りやすいとい言われる「幸福の低迷期」(クォーターライフクライシス)を経験していたことを明かした。 家入:大学を卒業して社会に出て、最初の3、4年は会社やいろんなルールを知ることに精一杯で、これから私ってどう生きていくんだっけって。私の場合は17歳でデビューして20歳くらいで幸福の低迷期がちょっと前倒しで来てしまって。自分で音楽を選んだけど、この道でいいんだっけって揺れ動いたときがありました。高校も芸能科で修学旅行や体育祭に出られてなかったので、その経験がないのにみなさんの心に響く歌を歌えるのかなって。経験値が圧倒的に不足していたので、海外に行かせてもらったり、ボランティアで保育園の先生のお手伝いしたりしました。 クリス:それはいくつのとき? 家入:23歳くらいでしたね。2歳児のクラスを担当させてもらったんですけど、寒天を子どもたちが握って、その感触を言葉にしてもらうワークショップがあって。教室が汚れちゃいけないからブルーのビニールシートを私が敷いていたら、子どもたちが騒いでいて、「先生、海が広がっているね!」って言われて。この感性ってすごいなと思ったし、ボランティアや他業種の人たちと交流するときに、やっぱり自分は音楽が好きなんだなってことに気がついて。ちゃんと距離を置いたことが自分にとっては正解だったなって思いました。 クリス:なるほどね。 家入:そこから迷いがなくなったし、そのときに悩んだことが今、全部糧になって曲になったり。悩んだことがない人っていないから、悩み相談を受けたときに言葉だけじゃない何かを伝えられる自分になれたらいいなと思いました。
顔が見えない方と一緒に曲を作れない
家入レオは 10月2日にニューアルバム『My name』をリリース。Charaとの共作曲『かくれんぼ』をはじめ、KANA-BOONの谷口 鮪やBLUE ENCOUNTの田邊駿一など豪華アーティスト陣も参加している。 クリス:そうそうたるメンバーが参加しています。制作はいかがでした? 家入:新鮮でした。自分ももちろんそのひとりですが、音楽が大好きっていう方たちが多角的に曲を作って、こういう思いでやっていらっしゃるんだって。Charaさんは、おこがましいですけど、音楽を作っていくスタイルに似たものがあるなって思っていて。顔が見えない方と一緒に曲を作れないっていうのが私はあって。 クリス:Charaもそうなんだ。 家入:すごく感動したのが、Charaさんと打ち合わせをしたあとに「まだレオさんのことがわからないから家に遊びにおいでよ」って言われたんです。それでCharaさんの作ったスープやサンドイッチを食べながらお互いのいろんなことを話していて、なんとなくわかったなっていうタイミングで、Charaさんがピアノを弾いてくださって、そこに自分がメロディーをのせていって曲ができていったので。人となりがわかって初めて曲に進んでいくことを大切にしてきてよかったなって思った瞬間でもありました。 クリス:アルバムタイトルの『My name』って、満を持してって意味が込められているのかな。 家入:ですね。30歳を前にやっとこれからだって本当に思えるようになって。自分で生きるしかないんだなって。古い友だちを受け入れるみたいに、私ってもう私で生きていけるよねって思えて作れた1枚だったので、子ども返りしたような感じがすごくあって。私「家入」は本名で、「レオ」が芸名なんです。前はレオのときと本名のときで無意識にスイッチングしていたと思うんですけど、今はどっちで呼ばれても私ってなるので、すごくいろんなことが楽しいですね。 10月12日から、家入は『My name』を引っさげた日本11都市とアジア4都市を巡るツアー「家入レオ TOUR 2024 ~My name~」がスタートした。 家入:いろんな時代の変わり目だなって日々感じていて、その変わり目ってちょっと心がざわつくこともありますけど、ぜひそういうときこそ音楽に寄りかかりに来てほしいですね。ちゃんと音楽でギュッとハグして、来てよかったなって思ってもらえるような、ホッとするようなライブにするので、ぜひ遊びに来てください。 家入レオの最新情報は、公式サイトまで。 『SAPPORO BEER OTOAJITO』では、毎週さまざまなゲストを迎えてお酒を飲みながら音楽トークを繰り広げる。放送は毎週土曜18時から。