井上尚弥と激闘演じたドネアが計量失格ネリの後釜狙いを宣言
さらにドネアは、モンスター(井上尚弥)はどうだったか?と切り出され、「彼はとてつもないファイター。あの戦いで、彼はどれだけ素晴らしいかを見せつけた。タフで力強く、しかも、パワフルなパンチに耐えきる能力まである」と絶賛。 その上で、11ラウンドに左ボディを浴びてダウンした(10カウント疑惑がある)絶体絶命のピンチを耐え切ったことについて、改めて、こう説明した。 「あれ(左ボディ)はとても痛かった。だが、ボクサーは意志と気持ちを持ち合わせることが重要で、自分の体が気持ちで立てるだけ強かったということなのだ。もし自分の気持ちが強ければ、何があろうと決してギブアップはしない。気持ちが体を引っ張ることができる。だが、体が心に訴えて、心がそれを許せば体はギブアップしてしまう。立ち上がるか、ギブアップするか。だが、私は両方を持ち合わせていた。それこそが自分が立ち上がることができた理由だ。ただ、あの(井上尚弥のボディへの)パンチは正確で誰をも倒すことができるものだった。自分は倒れたが、あえて倒れることを選んだのだ」 ドネアは、すでに試合後に複数のメディアに対して明らかにしているが、左ボディを打たれた瞬間、横を向き、数歩、リングを歩いた後に、あえてダウンしてダメージからの回復の時間を稼いだという。 ドネアの狙いは、ウーバーリへの挑戦権を手にして、世界戦で再びバンタム級のベルトを腰に巻き、井上尚弥へのリベンジを果たすことだろう。 伝説の激闘を制した井上尚弥は「ドネアとの再戦? ないでしょう」と、完全否定していた。あくまでも今後のターゲットは、弟が敗れたウーバーリへの仇討ちであり、WBO世界同級王者、ゾラニ・テテ(南アフリカ)との統一戦。だが、ネリの失脚で空く“ポスト・ネリ”の座を狙いにいくことを宣言したドネアが、今後、バンタム級で王者に返り咲き、存在感を示せば、ひょっとすると、井上との再戦にこぎつけることができるのかもしれない。 ドネアは、挑戦者オルティスの体力の消耗を待ち、7ラウンドに距離をはかった右ストレート一発でKO勝利してWBC世界ヘビー級王座のV10に成功したワイルダーと自らを重ねて、こんな感想を口にしていた。 「パンチ一発で決まったね。パワー。それこそが自分たちが見たものだ。私も同じだ。パワーがある選手であれば、このようなことは、どの瞬間にもいつでも起こすことができる」 36歳にしてパワーは健在。井上尚弥との善戦で再評価されたドネアの再起戦も含めた今後に注目が集まる。