自宅クローゼットに隠れた男が女子高生殺害 三鷹ストーカー事件 警察対応の不備が露呈 警視庁150年 138/150
平成25年10月、東京都三鷹市に住む高校3年の女子生徒=当時(18)=が、自宅のクローゼット内に潜伏していた元交際相手の男=当時(21)=に襲われ、自宅前で刺殺された。 【写真】懲役22年が確定した池永チャールストーマス被告 生徒は復縁を迫る男の携帯電話を着信拒否にするなどしたが、男は自宅付近に姿を見せるなどストーカー行為が過激化。事件4日前に学校に相談し、学校は同日中に杉並署に相談したが、自宅を管轄する三鷹署に相談を促すのみで、事案を伝えなかった。事件当日には、生徒と両親が三鷹署を訪れて相談したが、担当者はほかの相談案件に追われ、上司に報告しなかった。関西に住む男が来ても自宅に警察官を派遣しないなど、対応の不備が露呈した。 亡くなった生徒は留学などを経験し、将来は海外で活躍することも夢見ていたという。男は生徒の私的な画像をインターネット上に流出させ、公判では生徒の母親が「娘はリベンジポルノ行為で尊厳と未来を奪われ、2度殺された」と訴えた。 26年には復讐(ふくしゅう)のために交際相手の裸の写真などを流出させるリベンジポルノを防止する法律が成立。男は29年、懲役22年が確定した。 警視庁は対応を検証し、「危険性の判断に問題があった」と総括。発生から約2カ月後には「ストーカー・DV総合対策本部」を設置し、早期に刑事事件化する体制を整えた。今年4月には生活安全部に「人身安全対策課」を発足した。事件を教訓に、ストーカー事案を警察署任せにせず、指揮系統を一本化して、24時間365日体制で対応に当たっている。(前島沙紀)