初対面の人と仲良くなるには「気まずい質問」がいい?その理由と、いくつかのコツ
あなたがとある業界の会議に参加していて、講演者が全員を二人一組に分けたとします。おそらくあなたは「うーん」と思うでしょう。 追い打ちをかけるように、講演者は「これから10分間、お互いに4つの質問をしてください」と言ってきました。その質問は次のようなものです。 「あなたの人生でもっとも感謝していることは何ですか? 」 「もし水晶玉が自分自身や人生、未来などについての真実を教えてくれるとしたら、何を知りたいですか? 」 「もし、あなたが相手と親しい友人になるとしたら、その人にとって知っておくべき重要なことを教えてください」 「あなたが他人の前で泣いたときのことを説明してください」 楽しそうなトピックには思えないでしょう。 また、皆さんの話し相手も同じように感じると推測できます。 この推測は感情的な知性(EQ)の一側面「他人の立場に立って考えること」によるものです。だからこそ自分も相手もこんなことやりたくないと感じるわけです。 ただ、これを実際にやってみるまでは。 『Journal of Personality and Social Psychology』誌に掲載された、一連の研究の中でこの実験が行なわれたところ、参加者は会話のあと、予想していたよりも気まずくなく、ペアとのつながりが感じられ、とても幸せな気分になったと言いました(実際、講演者はすべてのペアの会話を止めるのに5分もかかったそうです)。 そのあとの実験でも同じ結果になりました。 「あなたの人生でもっとも恥ずかしい瞬間は何ですか」というような初めて会ったばかりのペアからの質問に答える際、非常に気まずくて居心地の悪い思いをするだろうと予測していましたが、実際にはその逆でした。
「深い話」が絆を深める理由
不思議なことに、会話の内容が気まずくて不快なものであればあるほど、その会話を楽しめる傾向がありました。相手との絆を感じれば感じるほど、相手のことが好きになるのです。 つまり、 初対面の人との会話の内容が深くなれば深くなるほど、会話を楽しんだあとに幸せな気分になる可能性が高いのです。 そして、ここで重要なことは、「魔法の質問」は存在しないということです。研究者が人々に「より深い」と感じた質問を考えてもらったところ、もっとも多かったのは非常に単純な質問でした。 「何をするのが好きですか? 」 「もっとも後悔していることは? 」 「5年後の自分はどうなっていますか? 」 きわめてシンプルな質問です。そして研究者たちは次のように述べています。 我々の実験に参加した人々は、見ず知らずの人との深い会話は実際よりもかなり気まずいものになると予測していました。 このような深い話に対する過度に悲観的な予測は、「見ず知らずの相手はそのやり取りにほとんど無関心なはず」という誤った仮定から生じていました。 実際には、相手も表面的な話をすることを楽しんでいるのです。 私たちの調査結果は「あなたの隣にいる人は、天気や近況よりも、自分の情熱や目的について話すことに喜びを感じている可能性が高い」ということを示唆しています。 実際、見知らぬ人と深い話をすると、友人と深い話をしたときと同じようにポジティブな気分になります。 だからこそ、相手の立場に立って、その人が喜ぶことは何かを考えてみてください。 話に興味をもち、相手の心を開く 次に、「仕事、何されてるんですか? 」といった世間話をするときは、もう少し深い話題にも触れてみましょう。 たとえば、次のように続けてみてはどうでしょう。私のお気に入りは、「大変な仕事ですね。あなたの仕事の中でもっとも辛いのはどんなときですか? 」という質問です(どんな仕事も大変だと多くの人は感じるものですから)。 数秒間、気まずい思いをするかもしれませんが、それでいいのです。あなたが誠実であれば(実際には相手の答えに耳を傾けることで誠実さは十分伝わります)、相手はすぐにこの話題に興味を持ってくれるでしょう。 そして、ただ聞き続け、より深い話題へ導く質問をしましょう。 あなたが相手の話に興味を持つことこそが、相手の心を開く鍵になるのです。相手もまた、あなたに対してより思慮深く、あなたのことをより理解しようとするでしょう。 その結果、会話がより有意義で充実したものになり、お互いがより幸せな気分になることでしょう。 きっとほかには代えがたい経験になるはずです。 ──2021年12月10日の記事を再編集のうえ、再掲しています。 訳: OCiETe Source: American Psychological Association, The Washington Post Originally published by Inc. [原文] Copyright © 2021 Mansueto Ventures LLC.
ライフハッカー・ジャパン編集部