【40代・50代「更年期治療」をアップデート!⑩】健康寿命を延ばしたいなら、まずは「骨と血管」の健康に注意! では、その方法は?
更年期外来に足を運ぶ女性だけでなく、プレ更年期や高齢期の女性にも寄り添っている産婦人科専門医の吉形玲美さん。その視線の先には、日本人女性の健康寿命を延ばしたい、元気で過ごせる時期を長くしたいという思いがある。そのために訴えているのが「骨と血管」のケア。最低限このふたつをケアすることで、更年期以降の人生が左右されることは確かだ。
12年以上も不健康な期間を過ごしたいですか?
「こんにちは。産婦人科専門医の吉形玲美です! これを読んでくださっているのは、プレ更年期、更年期、ポスト更年期のいずれかの時期にいる方だと思います。 どの時期であってもぜひ考えてみてほしいのは、一生元気に過ごすために何をすればよいかということ。今ある不調をどうするかも大事ですが、将来のことを想像してほしいんです。 日本人の平均寿命が延びて、人生は100年と言われます。でも、平均寿命と健康寿命の差はほとんど縮まっていません。 そのことを真剣に考えたことがありますか?」
健康寿命とは「健康に生きていられる期間」=日常的な医療や介護などがいらず、健康上の問題で活動が制限されずに生活できる期間のこと。 「女性の平均寿命は87.45歳、健康寿命は75.38歳(2019年の調査)。つまり『死ぬまで12年以上も不健康な期間がある』ということです。これは怖いことだと思いませんか? ずっと元気なまま生活を送るためには、平均寿命ではなく健康寿命を延ばす必要があるわけですが、漫然と生活していたのではそれはかなわない。少なくとも、40歳を過ぎたらしっかり健康管理と病気予防を考えていかなくてはならないんです。 更年期に女性ホルモンが減少すると、それに伴ってダメージがくることはいろいろあります。そのうち、その後の人生にいちばん影響を与えるのは「骨と血管」の健康です。このふたつのケアをやっておくかおかないかで、健康寿命の差は確実に出てくると思います」
骨、そして血管、まずはこのふたつを健康に保つことを考えて
「それまでのライフスタイルがとても健康的で、骨と血管に関する検査の異常も遺伝のリスクも見当たらず、ラッキーに生きてきた人は、それを高齢期まで保てるように努力しましょう。 だけどそうではない人のほうが多いはず。それならなるべく早く、ライフスタイルの改善をしませんか。遺伝疾患がわかっているなら、なおさら早めに予防ケアしなければなりません」 そのために必須なのは、「毎年の健康診断や人間ドック」だと吉形先生。 「健康診断で骨密度もしっかりあったし、動脈硬化リスクも血管にプラークもないという人は、それを保つことを考えて。 今は健康だけど、骨のためにカルシウムとビタミンDのサプリをとっておこうとか、プラークをつくりたくないからEPAやDHAのサプリをとろう、とか。エクオールサプリも骨量減少予防や動脈硬化予防作用はあるので、それもいいと思います。 『私は健康のために何をしているか?』 今一度、自分に問いかけてみてください。サプリはいや、薬は飲みたくない。そう頑なに考えている人こそ、自分に問いかけてみてほしい。薬には、卒業できる薬と卒業が難しい薬があります。更年期の不調は期間限定のことが多いので、更年期障害の治療薬は卒業できます。 逆に、骨のサポートをするためのサプリや薬、血管のプラークが大きくなってしまった人の薬は、ほぼ一生だと思ったほうがいいと思います。 検査で骨や血管の問題が出てきたら、生活習慣の改善はもちろんですが、早めに対処すること。サプリも薬も飲まなかったらどうなるの? と、自分に問いかけて、その先の未来をちゃんと想像してほしいのです」
【関連記事】
- 【40代・50代「更年期治療」をアップデート!⑦】更年期のイライラ、うつなどのメンタル症状改善には、何をしたらいい?
- 【40代・50代「更年期治療」をアップデート!⑥】女性も助けてくれる男性ホルモン「テストステロン」を味方につけたい!
- 【40代・50代「更年期治療」をアップデート!⑤】フェムゾーンにも更年期がくる! トラブルを防ぐ大事なポイントは、フェムケアで減りゆく「腟内フローラ」を増やすこと
- 【更年期、イラストレーター進藤やす子さんの場合】 バセドウ病、子宮筋腫の症状に悩まされた40代(インタビュー前編)
- 【更年期の漢方】咳やのどのつまり、疲れ、シミが気になったA子さんを公開 漢方カウンセリング!進め方と結果は?