絶縁の息子が明かしたカネの話 松方弘樹さんは相続でも美学を残せるのか
今年1月、脳リンパ腫のため亡くなった俳優・松方弘樹さん(享年74)の相続問題が再びクローズアップされている。有名人ゲストが先生役として登壇、自らの失敗談を語ることで人気のテレビ番組「しくじり先生 俺みたいになるな!!」(テレビ朝日系)の22日放送分に息子で俳優の仁科克基(34)が出演。松方さんとは16歳のころから19年間も絶縁状態だったといい、「偉大な父のお金を使いまくった、クズ2世先生」として授業を行ったのだ。
豪快な昭和のスターの家族関係は複雑
仁科は結局、松方さんが亡くなるまで連絡を取らず、死に目に会えなかったのはもちろん、葬儀にも参列できなかった。豪放磊落を地で行く昭和の大スターらしく(?)、女性遍歴も派手だった松方さんは、6人の子どもたちと複雑な家族関係を残した。 最期を看取ったのは、内縁の妻で元女優の山本万里子さん。26歳だった1998年当時、56歳だった松方さんとの不倫で世間を騒がせた。松方さんとの間に2児(克基、仁美)をもうけていた妻で女優の仁科亜季子から松方さんを奪い取った形だ。松方さんと仁科は98年12月に離婚し、2児の親権は仁科が持つことになった。 ところが仁科自身も77年に松方さんとの不倫騒動で芸能活動を休止(その後引退)、79年に結婚という過去の持ち主。不倫で結ばれた夫を不倫で失うという、なんとも皮肉な運命をたどった。離婚後、芸能界に復帰している。 話を整理すると、松方さんは最初の妻との間に娘2人と息子1人をもうけている。そして2番目の妻、仁科亜季子との間に2人。さらに元歌手でタレントの千葉マリアとの間に認知した息子が1人いるので、6人の子どもがいるということになる。
相続でも「美学」を残せるか?
そこで浮上するのが相続問題だ。離婚した元妻たちと内縁の妻には相続権はなく、6人の子が法定相続人ということになる。また、最期を看取った山本さんも、遺言による遺贈など一部を相続する可能性があるという。 「松方さんは、かいがいしく看病をしてくれ、最後まで連れ添った山本さんを最優先に考えていたはずです。ただ、仮に山本さんに全財産を遺贈するという遺言書を残していた場合でも、遺留分(遺産のうち一定の相続人に残しておかなければならない一定の割合)を請求されたら一部を相続人に渡さないとなりません。そこで絶縁状態だった克基らの動きが注目されていたのです」と週刊誌記者。 しかし、実際には松方さんの遺産は思ったほど多くはないという情報もある。一部週刊誌では、昨年2月に入院した当初はVIPの入る大きな個室にいたが、秋にはかなり狭い個室に移ったとも報じられた。 「容態悪化から復帰の可能性が低くなり、経済的に苦境に追い込まれていたのでしょう。入院中には家賃100万円以上という個人事務所兼自宅だった都内マンションを解約、転居したそうです。また、最初の離婚の慰謝料は3億といわれ、子どもたちの養育費も支払っています。京都に持っていた豪邸も仁科との離婚後には差し押さえられた末に売却しており、遺産はさほど残っていないという説があるんですよ」(地上波放送制作スタッフ) もともと、若いころから豪快なお金の使い方で数々の武勇伝を残してきた松方さん。入ったギャラはスタッフらに還元する気前の良さで、京都の祇園で飲みに出たところファンがついてきたため総勢60人の大宴会となり、飲み代全額を笑顔で払ったという豪快なエピソードなどがたびたび報じられてきた。 つまり、入るお金も大きければそれ以上に出て行くお金も半端ない。仮に借金があった場合、遺産は負債ということもあり得る。そうした事情で相続による泥沼の争いが今後起きないとすれば、”遺産を残さず想い出を残す”生き方は、松方流の美学といえなくもない。 (文・志和浩司)