『M-1グランプリ』審査員の人選だけじゃない…今大会「3つの焦点」と「危険な兆候」
『日曜劇場』と5年ぶりの大勝負
そして3つ目の焦点は、当日21時から放送されるTBSの看板枠・日曜劇場『海に眠るダイヤモンド』最終回2時間スペシャルとのバッティング。お笑いとドラマというまったくの別ジャンルだが、「視聴率を奪い合う」という点で両者は繊細な関係性にある。 近年、日曜劇場の最終話は2023年が12月17日、2022年が12月11日、2021年が12月12日、2020年が12月13日といずれも『M-1』の1週前に放送された。『M-1』と日曜劇場がバッティングするのは2019年の12月22日以来であり、その作品は木村拓哉主演の『グランメゾン東京』。当時、「『M-1』が前年から視聴率を落とし、『グランメゾン東京』は前週から視聴率を落とす」という痛み分けのような感があった。 今秋の『海に眠るダイヤモンド』はTBSの最強チームと言われる“プロデュース・新井順子×演出・塚原あゆ子×脚本・野木亜希子”の作品。同チームはドラマ『アンナチュラル』『MIU404』、映画『ラストマイル』をヒットさせるなど実績十分だけに、「このチームの作品なら『M-1』に対抗できる」という自信がうかがえる。さらに2時間スペシャルというスケール感も「勝ちたい」という意欲の表れだろう。 両番組がバッティングする時間帯は、『M-1』のファーストラウンド終盤から最終決戦あたり。もし18時30分のスタートから盛り上がりに欠ける状態が続いたら最終決戦への興味が薄れ、ザッピングのリスクが高まっていく。「生放送はリアルタイムで見られやすく、ドラマは録画や配信で見られやすい」というアドバンテージこそあるが、『M-1』にとって日曜劇場が脅威であることは確かだ。 その他では、大河ドラマ『光る君へ』(NHK総合)は前週で終了したが、固定ファンの多い『全日本フィギュアスケート選手権2024』(フジテレビ系)、『ザ!鉄腕!DASH!!』『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ系)などの人気番組もある。 これら3つの焦点がプラスに向かって盛り上がるか、それともマイナスに傾いてリスクになるか。芸人と審査員の奮闘に期待したい。 【さらに読む】『今年も「つまらない」「学芸会」…『THE W』が“視聴者感情を逆なで”し、厳しい声が飛び交ったワケ』
木村 隆志(コラムニスト/コンサルタント)