【特集】「内覧さえさせてもらえない」高齢者というだけで断られる住居の“貸し渋り”の実態 2025年には“団塊の世代”全員が75歳以上に…支援に名乗り出た人々の活動に密着
高齢者大国・日本。2025年には、“団塊の世代”全員が75歳以上の後期高齢者となり、医療や社会保障などへの対策が急務となる中、課題の一つとされるのが『高齢者の住居を巡る問題』です。“貸し渋り”など、高齢者というだけで拒否されることも少なくないという住居問題。現状と取り組みを取材しました。 【動画で見る】孤独死や家賃不払いなどの懸念から住まいを“貸し渋り”される高齢者が増加…家主のリスク軽減のため奮闘する人々に密着
遺品の処理・家賃の不払い…貸し渋りの背景にある、“孤独死”リスク
40代の小川さん(仮名)は、母親の新たな住まいを探しています。父親が亡くなり、母親の年金だけでは今の家の家賃を賄えず、安い物件に住み替える必要に迫られたためです。相談に乗っているのは、老人ホームなどを運営する社会福祉法人『やすらぎ会』の担当者・吉田真哉さん。『やすらぎ会』では事業の一環として、高齢者の住まい探しを支援しています。 (社会福祉法人『やすらぎ会』 吉田真哉さん) 「どうしても、75歳という年齢の部分で、不動産屋や家主に蹴られてしまう可能性もあるかなと思います。できるだけうちが間に入って、問題がないようにはします」
今、住む家が見つからない高齢者が増えています。2025年には“団塊の世代全員”が75歳以上になり、国民の4人に1人が後期高齢者に。政府も社会保障の制度改革を進めており、厚生労働省が2022年に取りまとめた『全世代型社会保障構築会議』報告書の中で、独居高齢者の生活について「住まいの確保も含め、社会全体でどのように支えていくかが大きな課題」だと指摘しています。高齢者の住まいを巡る問題は、待ったなしの状況です。しかし…。
(吉田さん) 「不動産屋や家主が嫌がる理由は、孤独死かなと思います。特に高齢者ということで、そういったリスクが非常に高いですから」 孤独死した場合の遺品の処理や、家賃の不払いなどへの懸念を理由に、家主が“貸し渋り”するケースが多いといいます。
「一緒に食べるご飯は、うまいな…」定期的な安否確認や運営するシェアハウスを提供、高齢者を支援する取り組みも
2か月に一度、沖縄から会いに来る娘・裕子さんとの食事を楽しみにしている瀬川フサヨさん(88)も、住まい探しに苦労した一人です。2021年に夫が亡くなり、収入が自分の年金だけになったことなどをきっかけに、新たな住まいを探そうと不動産業者に連絡しましたが…。 (フサヨさんの娘・裕子さん) 「『この物件を見たい』と言っても『ダメです』と言われて、内覧さえさせてもらえない状況でした。じゃあ、どこに高齢者が住める場所があるんだろうかと。本当に落胆するというか、受け入れてくれる所はないのかな、と…」
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