【特集】「内覧さえさせてもらえない」高齢者というだけで断られる住居の“貸し渋り”の実態 2025年には“団塊の世代”全員が75歳以上に…支援に名乗り出た人々の活動に密着
そんなとき裕子さんが見つけたのが、高齢者の住まい探しを支援する社会福祉法人『桃林会』でした。定期的な安否確認など、『桃林会』の担当者がフサヨさんの生活をサポートすることを条件に、家を借りることができました。 (社会福祉法人『桃林会』 百武明彦施設長) 「貸す側にもリスクがあるのは、事実です。貸す側の負担軽減をサポートできるチームがあれば、それが我々だと思っています」
さらに『桃林会』では、高齢者に住まいを提供するためシェアハウス『白鷺園』を運営しています。支援員・磯野由美子さんが、『白鷺園』に住む大木清さん(74)・あけみさん(73)夫婦の部屋を訪れました。 (社会福祉法人『桃林会』 支援員・磯野由美子さん) 「生活は、どうです?安定していますか?」 (大木さん) 「大体、しています。完全というほどではないけど、安心して」 (磯野さん) 「仮住まいなので、お風呂とかもご不便かなと思うんですけど、また何かあれば、いつでも言ってください」
大木さん夫婦は2022年3月に、このシェアハウスでの生活を始めました。当時、住み込みで働いていた居酒屋が突然閉店し、店を取り壊すことになったため、退去せざるを得なくなったといいます。 (大木さん) 「居酒屋の家主が、『家を壊す。出て行ってくれ。何もない。保証もない』と…」 大木さん夫婦は高齢なうえ身寄りがなく、経済的な余裕もなかったことなどから、家を借りることができませんでした。 (妻・あけみさん) 「『店をやめます』と言われたときは、寝られない気持ちで。そのときは、食事もあまりおいしくなかったです」
行き場をなくした大木さん夫婦でしたが、民生委員からの紹介で、一時的にシェアハウスに入居できました。同じ部屋で一緒に食事をしながら、笑顔を見せる大木さん夫婦。 (大木さん) 「一緒に食べるご飯は、うまいな。365日、結婚してから離れたことがないんです。だから、なおさら不安だったのと違いますかね。これからも、また大変でしょうけど。こういう施設があると、急な時に助かりますよね」 現在、施設が運営する配食サービスのスタッフとして働く大木さんは、「少しでも早く、夫婦二人の新たな家を見つけたい」と話しています。
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