“データセンター銀座”になった千葉・印西 「発熱し続ける巨大な箱」が建っていた
◇24年ぶりの変電所新設 グーグルのクラウド事業を運営する担当者に取材を申し込んだが「受けられない」との回答だった。「なぜ印西なのか」をメールで聞いたところ、「高速で最適なエクスペリエンス(体験)の提供には、(DCの)地理的な分散が重要。信頼性を確保するために独立したインフラを維持し、ユーザーの近くで運用することでよりスムーズなサービス提供が実現できる」との返信が来た。 DCの建設は周辺のインフラ投資にも波及する。DCの電力供給を賄うのが東京電力パワーグリッド(PG)だ。印西市や白井市、船橋市を合わせたエリアでの電力需要は、27年度には現在のほぼ倍に増えるとみられる。東電PGは今年6月、新設した超高圧変電所「千葉印西変電所」(印西市)の運転を開始した。同社の変電所としては実に24年ぶりの規模という。 また、既存の新京葉変電所(千葉県船橋市)と千葉印西変電所とを地下トンネル(長さ約10キロ)で結び、超高圧ケーブルをつなげる大規模工事も、20年からわずか4年間で完成させた。これにより、印西での供給能力は50万キロワットから計170万キロワットに増強された。さらに、DCの建設が増加してGPUサーバーの設置が拡大すれば電力需要が一段と伸びるため、27年度には230万キロワットに増やす計画だ。 米国勢調査局によると、米国のDC建設支出は23年、182億ドル(約2兆7300億円)と19年比でほぼ倍増し、今年も9月時点の年率換算で288億ドルと急増を続けている。総務省によると国内のDCは24年3月時点で219施設と、米国(5381施設)の4%ほどにすぎないが、米アマゾンが今年1月、27年までに2兆2600億円を投資すると発表するなど、米大手事業者が大型の国内DC関連投資を相次いで打ち出す。 大林組が今年11月、都市部に立地するDC事業に参入すると発表したように、他業種からの参入も広がる。今後も国内のDCは増加を続けることが確実で、大型の投資が不動産や建設、電気設備など関連産業にもたらす効果も計り知れない。
(中西拓司〈なかにし・たくじ〉編集部)