“データセンター銀座”になった千葉・印西 「発熱し続ける巨大な箱」が建っていた
◇1分の停止で5度上昇 サーバーは家庭用プリンターほどのサイズだが内部には機密情報が集まり、その管理には企業の命運がかかる。SCSKの小笠原寛事業本部長は「顧客のサーバーを守るのが私たちの使命。サーバーを安定稼働させるためには、冷却システムと電力の安定供給が非常に重要だ」と話す。停電などで冷却機能がすべてダウンすれば、室内の温度は機器が出す熱のため1分で5度程度上昇するという。 かつては自社でサーバーを管理する企業が多かったが、現在は安全対策上、自社のサーバーをDCに置いたり、DC内のサーバーを借りたりするケースが増えている。印西市にDCが集中立地する背景には地盤が安定しているとされることに加え、システム障害などの緊急時に企業のシステムエンジニア(SE)らが駆けつけやすいよう、都市部に近いエリアを選んでいることもある。外資系企業には成田国際空港に近いことも魅力で、「INZAI」が定着している。 一方、生成AI(人工知能)で使われる画像処理半導体(GPU)を内蔵したサーバーが今後拡大するとみられており、DCでの設置も増えそうだ。SCSKのDCにあるGPUサーバーに近付くと一般的なサーバーより音が大きく、うるさいほど。機器の熱もより熱く感じる。情報の処理量が多いため、消費電力量や発熱もその分、多くなる。 GPUサーバーを管理するには、冷却効果を上げるために特別なスペースを設け、ラックに冷却水を循環させる最新式空調機(リアドア式)を設置するなどの整備が必要だ。SCSKのDCでもGPUサーバー用のスペースを設置し始めたが、利用を希望する企業が最近相次ぎ、現在は予約でほぼ埋まっているという。 23年春に運用を始めた、同市にある米グーグルのDCも訪ねた。無機質な外観のDCが多い中、同社のDCには企業カラーの青、赤、黄、緑のラインが描かれている。建設作業員らが大勢出入りし、内部でさらに大きな工事が進んでいるようだ。同社は、広島県三原市と和歌山市にもDC用の土地を取得したとみられ、三原市ではDCでは国内最大となる1000億円規模の投資が見込まれている。