“データセンター銀座”になった千葉・印西 「発熱し続ける巨大な箱」が建っていた
ナシ畑が点在し、黄金色のススキが揺れるのどかな田園風景が広がる一方、窓のない巨大な箱状の建物が林立する──。東京都心部から電車を乗り継いで約1時間。成田国際空港にも近い千葉県印西市が今、全国的にも有数の「データセンター(DC)銀座」として変貌を遂げている。 ◇2019年ごろから建設が相次ぐ DCは、インターネットでつながったサーバーなどの機器を設置するために特別に作られた建物。高速回線のほか機器を冷やすための冷却システムが備えられている。膨大な個人情報だけでなく、中央省庁や企業などの機密情報も扱うためセキュリティーは厳しく、免震性や耐震性も強化されている。電源が止まって冷却も止まれば機器が壊れてしまうため、非常用電源なども完備する。 印西市によると、DCは2019年ごろから市内で建設が相次ぎ、現在は確認できるだけで11事業者・30施設が同市内でDCを運営している。ただ、重要データなども扱うため具体的な規模や場所を公表していない企業も多く、市担当者は「実際にはもっと多いだろう」と話す。大和ハウス工業も1000億円超を投じ、国内最大規模となる「DPDC印西パーク」の整備を進めている。25年までに14棟(約33万平方メートル)を整備する。 機密性が強いDCだが、住友商事の連結子会社SCSKが同市内で運営する「netXDC千葉センター」の取材が許可された。全3棟あり、取材したDC(消費電力12.8メガワット時)は地上6階建てで、最大1600ラックのサーバーを収容する。「ラック」とは、サーバーなどを収める金網状の棚のこと。大型冷蔵庫ほどの大きさで、鍵を閉めてサーバーを管理する。国内外数百の企業・団体のサーバーを管理している。 サーバーなどの電子機器は熱を放つため24時間・365日、DC内の空調や冷却機器を稼働させる必要がある。室内のラックからはサーバーの排気音が聞こえ、近寄るとわずかな発熱を感じる。例えれば、運転中の大きな電子レンジのようだろうか。室内は米国のガイドラインに基づき、18~27度になるよう維持されている。