<41年ぶりの春>鶴岡東・支える地域/下 入学前に硬式を体験 地区野球連盟運営の教室 /山形
<第92回センバツ高校野球> ◇地元出身者の選抜活躍に期待 鶴岡市の鶴岡ドリームスタジアムの室内練習場に5日夜、地元の中学生約20人が集まった。鶴岡地区野球連盟が運営する鶴岡野球教室の選手だ。中学年代のシニアチームが多い関東や関西などは高校前に硬式球になじめるが、市内で唯一、硬式を体験できるのがこの教室。高校で野球を続ける予定の市立鶴岡第一中の花岡悠希さん(15)は「高校で必要なことを教えてくれる場所」と話す。 【動画】センバツ出場校、秋季大会熱闘の軌跡 社会人の鶴岡野球クラブも連盟をサポートしていた。その一人、斎藤慶輝さん(25)は鶴岡東時代は公式戦に出られず「まだ野球をやりたい」と、市消防本部の仕事の合間にクラブチームでプレーする。教室にも携わり「高校に入るタイミングで野球のレベルは格段に上がる。自分は鶴東のレベルについていけなかったが、中学生にはそういう思いをさせたくない」と考える。 庄内地方の私立の強豪校、鶴岡東、羽黒、酒田南などは県外出身が多い。鶴岡東は昨夏の甲子園でベンチ入りした18人のうち地元出身は4人、昨秋の東北大会は5人で、このうち太田陽都選手(2年)と佐藤伊吹選手(同)が教室出身だった。5日夕、中学生の練習の前に、同じ室内練習場では鶴岡東の部員が汗を流していた。秋の公式戦でベンチに入れなかった教室出身の控え投手、菅原陸来(りく)選手(同)は「高校で硬式をやる前に感覚をつかめたのは大きい」といい「選抜で投げたい。地元出身者が活躍できれば」と意気込む。 鶴岡東の前身、鶴商学園OBで連盟の高橋征弘(まさひろ)強化指導部副部長(56)は「高校野球にどうつなげていくかが大事」とし、地元の球児が長く野球を続けることを願い、将来の鶴岡野球クラブなどでのプレーにも期待する。教室は、鶴岡東を経て2017年秋のドラフトでソフトバンクに1位指名された吉住晴斗選手らプロ選手も輩出した。レベルの高い県外出身選手に追いつけ追い越せという取り組みは、地域全体の底上げにつながっている。【渡辺薫】