星野監督に聞いた 楽天日本一の理由
星野監督は「例えば」と2人の選手の名前を出した。 「銀次は、精神的に強い。巨人には徹底してインコースを攻められたが、恐れず踏み込んでいった。絶対にチームのために勝つんだという気持ちだろうな」 「ベテランの稼頭央(松井)も、打つだけでなく守りで盛り上げてくれた。彼が、ピンチになるとマウンドに行ってアドバイスを送ってくれるので、ピッチングコーチがマウンドに行く必要がなかったんだ。楽天は若い選手が多いが、稼頭央のように野球をよく知っているベテランがチームにいてグラウンド内をまとめてくれたのは大きい」 ■チームの精神的支柱となった絶対的エース そして、マー君である。 「本当によく投げた。見ていると、後輩たちに声をかけているシーンが多い。結果だけでなく、エース、リーダーとしての自覚が態度になって自然と出ていたんだ」 第6戦では、ついに土をつけられ、連勝記録は止まったが、160球の完投をやってのけて、その翌日にストッパーとして、9回のマウンドに上がった。おそらく肉体は疲れ果てていただろうが、チームのためにという精神力だけで巨人に立ち向かったのである。 「則本も、傍に田中将大という先生がいたことは大きかっただろう。彼もまた非常に反骨心の強い男。気持ちがある。来年が大事になるだろうが、エースとして将来を期待されるものを兼ね備えていると思う」 星野監督は、そう言って、シリーズ開幕戦の後は、抑えとしてフル回転したルーキーの則本の気持ちを称えた。おそらく三木谷オーナーは、全力で慰留するだろうが、マー君はアメリカに旅立つだろう。星野監督は、そのことに言及はしなかったのだが、則本について熱く語ったのは、次期エースとしての期待感の裏返しだろう。 ■グランド外での信頼関係 一体感は、グランドの外、現場―フロントの間にもあったという。 「今年は、シーズン前から三木谷オーナー、立花社長と腹を割って何度も、いろんな話をしてきた。念願だった右の大砲2枚も取ってくれたし、フロントと現場の密接な関係が、チームのまとまりにも反映されたのではないか。そう思っている」 ■悲願の日本一達成 次の目標は連覇 星野監督は、悲願だった日本一を4度目の挑戦にして、やっと手にした。次のモチベーションは連覇というものに向けられるのだろうか? 私が「燃え尽きたんじゃないだろうね? 次に燃えるものは何かな」と聞くと「今は、何も考えられんわ。ちょっとは、ゆっくりさせてくれよ」と笑って答えなかった。 (文責・駒沢悟/スポーツライター、元スポーツ報知記者)