台湾で大規模爆発 24人死亡270人負傷 化学物質に引火か
台湾南部の拠点都市、高雄市の中心部で8月1日午前0時(日本時間同1時)ごろ、大規模な爆発が連続して発生し、住民や消防隊員ら24人が死亡、約270人が負傷した。当局は、地下から漏れた工業用の化学物質の気体に引火して爆発が起きた可能性があるとして原因を調べている。
■広範囲で道路陥没、3階まで飛ばされた車も 現場は、鉄道の高雄駅南東の市街地で、約2~3平方キロという広範囲に渡って爆発が発生、道路の陥没は深いところで約2メートルにも及んだ。道路にあったマンホールのフタも、爆発の勢いで次つぎと吹き飛ばされたという。死者、負傷者が多数出たほか、爆発の衝撃でビルの3階まで吹き飛ばされた乗用車もあった。また、救助に向かった消防車も爆発に巻き込まれ、身動きが取れなくなる事態も発生したという。
■すでに通報されていた「ガスの臭い」 爆発を目撃した住民によれば、「明るい閃光が走り、爆弾が爆発したみたいだった」と話している。前日の7月31日午後9時(日本時間10時)ごろには、付近の住民から「ガスの臭いがする」という通報が相次いでいた。消防隊員が現場に駆け付けたが、ガス漏れの原因を特定できなかったため、道路を封鎖し、水撒きの作業を行うにとどめたという。その後も原因は特定できず、1日午前0時から大規模な爆発が立て続けに起きた。
■市が「安心して」5分後に爆発の証言も 台湾の巨大ネット掲示板「PTT」には「午後8時からガスの臭いがしていた。通報して駆けつけた消防隊員は3時間も水撒きをしていただけだった。午後11時になっても改善されなかったので市民センターに連絡したら、『状況はもうコントロールできている、安心して眠るように』と言われた。電話を切って5分後に大爆発が起きて、住民がパニックに陥った」という証言も寄せられており、当時の市・政府の対応に批判が集まりそうだ。 ■救助活動に軍隊ら千人を投入 市内の各病院には、負傷者が次々と運び込まれ、人員不足の状態が続いている。現在、軍隊と救助隊員合わせて約千人と400台ほどの車両が現場に投入され、引き続き救助活動が行われている。 高雄市は現在、現場付近のガス管を閉栓したほか、停電により約2万世帯に影響が出ているという。 同市は人口約280万人で、台湾南部の最大都市。在留邦人は約1300人、日系企業約170社が進出し、日本人学校もある。1日午前11時現在、日本人の被害は確認されていない。 (TomoNews/台湾)